2019年10月31日(木) 住所が変わる
今日で10月が終わるなど全く信じられない。心底長かった9月を経て、平常モードの10月を過ごしてきたせいかもしれない。自分だけが時空の間にいるよう。
朝から旧居の引き渡しで、掃除の仕上げと、鍵渡しなど。
派遣されてきた担当者に、部屋内の傷あり箇所などに火災保険が適用できるかもしれませんよ、と有力すぎる情報をいただき、ひたすら感謝する。自分に原因がある場合(誤ってぶつけた、パートナーと喧嘩して物が倒れたなど)でも、「故意過失」という条件にあたり、保険料の一部がおりる場合があるそうだ。
ついつい自分が悪い、と思いがちだけれど、使えるものは使わねばいけない。
いよいよ、住所が変わる。精神的な切り替わりが、これほどあるとは思わなかった。僕のGoogle日本語翻訳からも過去の住所は消えていく。ぼくはある特定のワードで住所を呼び出せるようにしているのだ。ゆっくりと、そんなところから変わる。
夕方から取材がひとつ。その後に、打ち合わせと、懇親会的な食事。どちらもとても楽しかったが、自分のエネルギー不足を感じてしまう。引っ越しは案外に大きめのライフイベントなんだと感じたりもする。
激動の令和元年9月が終わり、10月がすぎていった。クローゼットの前面には冬服を並べ始めた。冬が来るのだ。夏の僕はまだ夏のままだが、それでも、季節はめぐる。日本という国は、四季があることは、案外に生きやすいんだと思った。
2019年10月30日(水) ぼろぼろ
体調いくらか上向く。夜中に寝て、うっかり目が覚めてマンガの続き。
撮影仕事を終え、打ち合わせをして、夜は旧友的なSくんと代々木上原の餃子屋でメシ。
彼が打ち明けてくれた悩みを、どうにもうまく返事できなかったことに凹んでいる。彼はソリューションがほしかったわけではないはずなのに、僕はいつもいつも、なにかの打開策を提案してしまう。そういうことでは、ないのだ。反省。悔しい。
困りごとと悩みごとは違う、と書いていたのは小野美由紀さんだったか。まさにそれだ。悪い癖だ。困っているときは解決策があれば前進するが、悩みはまた別の問題なのだ。
代々木上原から奥渋谷をハイボール片手に歩き、へらへらと帰る。仕事をしようと思っていたけれど、全くできずに一旦寝る。一旦のつもりが、朝。
2019年10月29日(火) 萌え転がる
一区切りがつく日。当初から粛々としようと思っていたが、まさか寝込むとは。
体調は戻らず、連絡を先行した自らの判断に感謝しながら、仕事で読まなければいけないマンガを読んだりした。久しぶりのラブコメ摂取だったけれど、キャラクターが魅力的すぎて、萌え転がる。ほんとうに恋がしたくなった。
萌え、とかいうワードをさらっと使ってしまうところに興奮がある。でも、僕にとってはこの気持ちを表現するのは、萌えが合うのだ。萌えは偉大だったんだな。
さらに、自分が、キャラクターを想い、この作品はアニメ化するので声優さんの声を脳内ではてはめて、大興奮してベッドをごろごろできることに、得も言われぬ「まだ終わってない感」を覚えたりもした。
この興奮は、まだ説明がつかない。二次元からは、一生離れられない気がする。
2019年10月28日(月) 新居への引越し日
朝、旧居へ行って汚いところを掃除するが、そもそもクリーニングがこれからかかって、そこそこの金額も払うのに、なんの意味があるんだろう?と思ったりする。これ、退去後クリーニングという概念がなかった頃の名残なんじゃないだろうか。
午前中から掃除、引っ越し、役所の手続きなど、ひたすらに動き回って午後遅く。ようやっと荷解きだと新居で赤ワイン飲みつつ意気込むも、だんだんとワインが重たくなってきた。
あれ、なんか頭がボーッとする……怖いので、薬代わりに家系ラーメンをキメてみるも、味がどうにもぼやけているし、ライスは胃に入らないし、まったく楽しめない。最後はフードファイターのMAX鈴木さんの限界間近みたいなときの映像を思い出しながら、真似してどうにか詰め込む。
深夜、いよいよ立ち行かず、検温すると39℃近い。終わった。動けるうちに飲み物を買いに行き、翌日の仕事と飲み会のリスケをお願いをして、失意のまま眠る。とんだ引っ越し初日だった。
2019年10月27日(日) 美しく、生きる
ガス開栓の立ち会いっていうのは、どうにかならないのだろうか。実際何をしているかもわからないし、だけどその場にはいないといけない、という、あのもやもや感を時間指定もきかずに待っているっていうのは、ちょっと前時代すぎる気がする。
オートロックマンションが増えたことで「オートロックが開けられないから」という理由で立ち会い必須になるのも、どうにも合点がいかない。管理会社が管理してほしい。
仕組みを調べないといけないのだけど、基本的にガスなんて、つないでおけばいいのではないかしら、とおもったり。おそらく点検の意味があるのだろうけど……と、いろいろ考えながら、新居のガス立ち会いをこなす。
夜は、数日前にシンガポールチキンライスをご一緒したIさんにお誘いいただき、渋谷のWWWにラッパーのGOMESSさんのライブを観に行く。事前知識は入れなかった。
名前は知っていたけれど、Iさんが「今の長谷川さんには見てほしい」と言ってくれて、それならばという気持ちで馳せ参じる。結果、僕はただひたすら、だらだらと涙を流し続け、時折鼻をすすってしまうような人になっていた。
僕の目からは、ポエトリーとライブの間みたいに思えた。彼の歌はたしかに歌なのだが、もっと私的な、福島泰樹的な絶叫詩人感も覚える部分があり、なおかつ楽曲としての畳み掛けもあり、さらには歌わずに「語る」パートもある。とにかく彼が放つ言葉と意味に向き合うことを、ある種、ライブは強制される。
僕は自分以上に「ままならない人」を見ている感覚もあり、そして自分のサイコパス性に気づいたりもした。完全にすべてにハマれない、おかしな感じ。
「俺は俺で、お前はお前だ」という強いメッセージは、ひたすらに刺さった。彼はあらゆる場面で、そのあまりにも当たり前な理、だけれど見過ごしてしまう「当然」を強く訴え、僕はワンイシューを発信する強さにも気づいてしまう。絶対にこれだけは言いたい、というものを、持っているかどうか。表現者としての素養だと思う。
僕は、最近身に起きた事柄を想い、GOMESSさんの言葉を臆面もなく借りれば、「自分は自分」でしかないはずの相手を、「他人」の枠に当てはめて理解しようとしたのが、何よりの誤りだったんだな、と思っていた。れっきとした個人を相対化し、すでにある前例を元に判断することは、確率を高める一方で、個人という絶対を奪う。
しかし、効率はいいのだ。流行っていて、熱があまりに急に出て、39℃を超えたらインフルエンザかもしれない。と判断すれば、インフルエンザ的な処置ができる。一人ひとりを細かく見ていたらパンクしてしまう。その意味では相対化は重要なのだと思うけれど、少なくとも、あらゆるものを相対化して効率的に考えることは、目の前にいる個人という絶対を奪う。
その「絶対」に向き合うという思いが、僕には足りなかったんだと、おもう。
GOMESSさんには過去に何かがあったらしい。MCで「自分は罪を負ったと思ってる。罪を消すことはできないけれど、その罪を、誰かの罪のために使えたら」といった話をしたあとで、「俺は俺を全うする。かっこよくなる」と宣言した。ただ、自分は、自分を全うし、それが誰かにとっての次の道になる。罪も、誰かの罪に使う。
「美しく生きるために生きる」という言葉が、頭に浮かんだのか、GOMESSさんから発せられたのか、どうにも覚えていないのだけど、ぼくには残った。
今日、このタイミングで観て、ほんとうによかった。Iさんには感謝しかない。
2019年10月24日〜26日 引っ越しに追われる
あれよあれよとやるべきことの忙殺によって日記も触れずの日々が続いていた。
24日は不動産会社に赴いたり、取材を2つしたり、イベント撮影の仕事に行ったりした後に、そのまま原稿を書いて25日を迎え、さらに母を頼って引っ越しの準備を進め(母の手際の良さは本当にすばらしくて主婦のすごさをまざまざと実感した)、なかなか終わらない荷造りにじれったくなりながらも手を止めて夜中には〆切の原稿を作り、そして26日には新居の鍵受け取りなどを諸々とこなす。とにかく日々が繋がっている感じ。
実は、26日の夜には、とあるライブのチケットを取っていて、会場が熊谷だったのだけど、精神衛生が悪すぎて行くことを断念した。
もっとも、以前の妻と行く約束をして取ったチケットだったし、その約束もなくなってしまった今、ひとりで観に行く理由も「行きたい!」という欲が無ければ成立せず、明らかにここから数日まだ忙しいことを思うと、家を出たけれど数歩で引き換えしてしまったのだ。
そのライブは、メッセージ性のとても強い歌を出す人たちのものだから、きっと耐えられないとも感じた。熊谷まで1時間半かけて、その不安を受け入れることもできなかった。
この判断は、寂しいけれども、すこしだけ、大人になれたような気がした。
iPhoneに貯めている日記のネタ帳に「うまくもまずくもねぇ素焼きアーモンド」という文字が残っていて、内容が全く思い出せない。荷造りしながら、酒をのみながら、かじったいつかのつまみのしけったアーモンドが気に食わなかったのだろう。気に食わないというより、その虚しさも伴うような乾燥した味が、嫌に心に響いてしまったのかもしれない。
2019年10月23日(水) 過去と未来と
午前中は西荻窪でIさんと打ち合わせ。シンガポールチキンライスが、とっても美味だった。
茹で鶏とフライドチキンのハーフアンドハーフを大盛で。なんなくぺろり。ご飯がおいしい。
打ち合わせしながら近況の話もする。以前にお会いしたのが8月だった。そうか、まるまる一ヶ月半くらい空いていたのか。時間の流れが早いような、遅いような、ふしぎな感じがする。お伝えしたいこともあったので、心がすこし軽くなり、次の楽しみがつながっていった。
また、あのシンガポールチキンライス食べつつ、お話したいなぁ、と思ったりした。Iさんと話していると、なんというか、心がすとんとするのだ。すとんとして、やる気が出てくる。Iさんのストイックな姿勢に、感化されるからだとおもう。
その後はインタビューひとつ。和やかな空気のなかで、でも自分の生き方に絡むような、力強い視点をいただく。いまの自分が幸せだと思える仕事の先に、叶えたい未来が待っている状況を考える。考えながら行動し、行動しながら考える。など、など。頑張って原稿にしよう。
夕方に事務所へ帰還。ここ数日の追い込みもあってか、疲労感が強い。眠すぎて一時帰宅。松屋の「ごろごろチキンカレー」を食べて、横になる。数時間眠って、シャワーを浴びて事務所へ。仮眠を取ってから深夜の街へ自転車を漕ぎ出すと、大学生時代のコンビニ夜勤を思い出す。
あの頃に戻れたら、僕は何をするだろう。たくさんの分かれ道の、もう片側を選んでいたら。
恵比寿の歩道橋を渡りながらした別れ話を、なかったことにするかもしれない。そんなことを今から言うのは、ほんとうに、ひどい男なのだけれど。
2019年10月22日(火) 充電ステーション
仕事をもくもくと。夜は久しぶりに仲間と飲みに行った。やきとんを食べるのも、なんだか久しぶりな気がする。常識外にでかいバイスサワーを飲んだりした。
みんなは今の仕事場を出て、人を雇って業務拡大していくつもり、という話を聞いた。それはいいことだ。一人ではできることにも、回せる量にも無理はある。僕もそういうことを、そろそろ考えないといけないんだよな、と最近とみに思う。
飲み屋に、めちゃくちゃ乱暴だけど使いやすそうなガジェットがあって、よかった。なんていう商品分類になるのかなーと思って、Amazonでポチポチ見ると「USB充電ステーション」と書かれていた。そうか、ステーション。悪くない感じがする。
たぶんこれだと思う → https://amzn.to/2PdPWVy
人間もこうやって、ごろーんと横になって充電できればいいのに。ポケモンセンターのやつみたいに回復するのでもいい。
2019年10月21日(月) 好奇心を育てる
仕事の打ち合わせで渋谷へ。道中、ファミリーマートで黒豚肉まんとファミチキを買う。この組み合わせが最近好きだ。黒豚肉まんで心をあたため、ファミチキでエナジーを得る感じ。
肉まんを食べながら思い出したことがある。あれは小学4年生か5年生か、たしかそれくらいだったはずなのだけど、当時は「井村屋」みたいな中華まんメーカーの存在すら知らなかった僕は、母にねだって「いろんなコンビニの肉まんが食べてみたい」とおねだりしたことがあった。
うちは土曜日の昼飯が、母も出来合いものを買ってきたりする休息日だったらしく、しばしば肉屋のメンチカツとかインスタントラーメンが並んだ。母はちゃんと料理をこしらえる人だったから、ちょっといつもと違う食事、という日だったのだ。
いろんなコンビニをはしごして肉まんを買う。正直言って、いま考えても面倒すぎる。近場で揃えばいいが、ローソンだけが近所にない、みたいなことは往々にあるわけだ。当時、僕の実家のまわりは、たしかセブンイレブンが極端に少なく、ファミリーマートが多かった気がする。
母は、それでも、いろんなコンビニの肉まんを買ってきてくれた。ピザまんとか、カレーまんもあったはず。5個か6個か、お皿に並んでいて、僕はいたく感動しながら食べ比べた。
思えば、あの時、母がこうして僕の好奇心にちゃんと応えてくれた経験は、今の自分にとって大事な素養になっているんだな、と思うのだった。僕は仕事でインタビューをするとき、誰に話を聞いても「面白いなー」と感じることがほとんどなのだけど、根本には好奇心があるからだ。それを育ててもらったんだな、と感謝した。他にもいろいろあるはずだけど、肉まんを食べながら思い出したのだった。
打ち合わせと取材、夜は飲み会兼討論会、みたいなもの。
すっかり盛り上がって、恵比寿。駅前の家系ラーメンを、こっちは最後まであまりピンとこないまま食べ終わる。
2019年10月20日(日) JKリフレ店頭攻防
〆切が重なってしまって、この日もひたすらに執筆。朝までかかって原稿3本納品。
夕飯にケバブライスを食べようと思い、秋葉原の某所で買い求めて、そのまま店先で食べていた。すぐ近くにJKリフレ?メイドリフレ?みたいのがあり、女の子が呼び込みをしている。メガネをかけて、他の呼び込みの子よりは少しふっくらしていて、優しげな目元だった。
彼女が差し出すチラシはなかなか受け取られなかったが、スーツ姿の男が近寄った。背は女の子と同じくらいだから、男性にしては低いほう。スーツはややきつめで、頭髪も寂しいほう。
男はチラシを受け取ったのかどうかわからないけれど(ケバブをがっついていて見逃した)、そのまま店先で女の子と話し始めた。最初は交渉しているのかと思ったけど、これが、長い。僕がのんびり食べている間だから、悠に5分ほどは会話しているのではなかろうか。
思うに、これは金を払わずに女の子と会話だけしようという魂胆があるのではないか。おいおい、それはルール違反というか、ちょっと嫌らしくありませんこと。そんなふうに思い、食べ終えた容器をゴミ箱に投げ、すっと女の子たちのほうに近づいた。女の子と目が合った。彼女の視線は、僕と合ったのだ。止まない会話から気をそらすかのように、すでに彼女は、もう何も見ていなかったのだろう。
僕は、彼女の視線を、1秒だけいただいて、過ぎ去った。元から助ける気持ちがあったわけではないんだけれど(それをするには僕が彼女と添い寝とかをしないといけない)、なんというか、スーツ姿の男は、帰りに財布でも落として「あんとき添い寝しときゃよかった!」と悔やんでほしいし、彼女はすぐにロングタイムで優しい客が入ってくれたらいいんでしょうか。
なんだこの話。
やっぱり、僕は添い寝をしてみるべきだったんだろうか? いや、こんなの本当におせっかいで、風俗で説教しちゃうくらいダサくて。たぶん彼女はあの店先で、暇だなーって思いながら、目を開きながら心は閉じてるくらいのが、いいんだろう。
2019年10月19日(土) ただ事務所にいた
夢も展望も未来も特段ないが、次に来る仕事のために仕事をしている。そんな日々である。精神的にもあまり具合が良くなかった。
2019年10月18日(金) ネットの使い方
とある用事で専門家のもとを訪ねてアドバイスを請うと、それまでネットで調べていた程度の知識が一瞬で吹っ飛ぶくらいに的確な答えをいただいて、感動する。肩の荷も降りる。ネットで救えるくらいの知識レイヤーと、個別具体に合わせたアドバイスは、もっと使い分けできるのが賢くていいんだろうな、という思いが生まれる。
課題解決に対して、ざっくりとキーワードを組み合わせてネットで検索する→特定の単語に出会う→特定の単語についてネットで検索する→周辺にまつわる単語にも知識や理解を得る→疑問点や個別具体について聞きたくなる→専門家に相談する
という流れが作れると、話も早く済むだろうし、ある程度の共通言語で話せるはず。知ったかぶりにならないのが難しいところですけれど……。
夜は、ライターの大先輩であるMさんと神田で飲む。お久しぶりに会って2軒はしご。2軒目は、何もネットを見ずに、久しぶりに「呑み助の嗅覚」を頼りに店と出会って入ると、当たり!神田[若竹]で、何をつまんでも美味しかった。トイレに入ったら、吉田類さんが酒場放浪記か何かで訪れていたそうで、この「後からの答え合わせ」の気持ちよさみたいのにしびれていた。
ライター業についても、あれやこれやとお話する。やっぱり一人で仕事することの限界とか、仕事のセーブの仕方とか、いろいろ教わる。最終的には、落語の一門のごとく家元制度が合うのではないだろうか、みたいな話まで。アシスタントとかでなくて家元制度っていうのは、ちょっとおもしろい考えじゃないかと感じたので、少しずつネットで「家元」について検索しはじめる。
2019年10月17日(木) へにゃっと笑いに弱い
久しぶりにinliving.さんの動画を観たら、ずいぶん雰囲気が変わっていて驚きました。
出たての頃は、もっと淡々と、どちらかといえば生気のない感じだったけれど、へにゃっと笑うようになったり、声のトーンが明るかったり。でも、なんか今は、こっちのが余計に癒やされる感じがした。この「なにもない」空気が、無理なくこちら側との生活とも馴染んでくれるのに、見ていると「かわいい」と思える瞬間が挟まれる特別感。
すっかり影響されて、夜食のルーティンが変わりました。パックご飯あたためて、半分を、セブンイレブンで買った納豆とめかぶで、ねばねば丼にして食べる。残り半分を、永谷園のお茶漬けの素をかけて、お茶漬けにするんです。
ねばねば丼だと、どうしてもずるずるーっと、美味しくてあっさり終えてしまう。半分をお茶漬けに置き換えることで、汁物でお腹もあたたまるし、ゆっくり食べるから満腹感も出る。さらに、使った器もお湯でちょっときれいになって洗いやすい。(あ、これそのうち記事にしよ)。
今日はインタビュー取材をひとつした後に、不動産屋で新居の契約手続き。ようやくまとまる。そして、朝までに原稿3本。がんばる。
2019年10月16日(水) サウナで泣く
たいへんに難産な原稿に向き合い続けて、仮眠から起床後に即続きに取り掛かるような状態で、どうにかこうにか形にする。ほんとうに、どうにかこうにか。無事に発表できるまで祈り。
へろへろとしつつ、夕方には渋谷のアップリンクへ。サウナー仲間でライターのNさんに誘われて、映画『サウナのあるところ』を観に行く。サウナの本場、フィンランドから届いた「本格サウナ・ドキュメンタリー」というフレーズに惹かれて、気にはなっていたのだ。
この電話ボックスを改造したと思しきサウナの写真からしてドキドキですよ。
あまり事前情報をいれずに、さまざまなサウナの映像を見て、心からととのってしまおう……なんて思っていたら、甘かった。たしかに、乗用車を改造したサウナとか、家の中にあるサウナとか、日本ではお目にかかれないようなサウナがたくさん出てきて心ときめいた。
だが!本編は!男たちが時に涙を溢れさせ、鼻水を垂らすことも厭わず、心の傷を吐露していくのだった。そして、ビールを飲み(サウナの内外問わず)、ときにはウイスキーを瓶でラッパ飲みもする(サウナのなかで!)。内容が想像と全然ちがう!
そして男たちは悩みや苦しみをサウナで語り、言葉が途切れたところで、セルフロウリュで蒸気を出す。サウナは、身も心も裸にする場所なのだ……と、きれいにまとめれば都合は良いけれど、想像とあまりに違ったので、ちょっと面食らったまま終わってしまった。Netflixとかに出てきたら、改めて心を落ち着けてみたい気がする。
その後は、あれだけサウナを目にしたら入りたいよね、ってことで、渋谷の「改良湯」で3セットをしっかりやって、恵比寿までゆるっと流れて、餃子をたらふく食べる。駅前の[渋谷餃子]、50個で1980円とかいう謎の価格設定で、うっかり頼んで、うっかり食べ過ぎる。
餃子をつつきながら、姫乃たま『周縁漫画界 漫画の世界で生きる14人のインタビュー集』のインタビュー原稿が、いかに素敵で、ここが優れている!と熱く語り合う。この「魂削ってる感」には感服しかない。
どこで使うとかはわからないけど、とりあえず録音しておいた。いつか文字起こし、見たい。
長「こんだけセリフ絞って書きたいよね」
N「わかる!書きたい!本当はもっとあるはずなのに…」
長「でも、ちょっと翻訳調のところもあるよね」
N「それ、僕もメモしたんですけど、翻訳っぽいと思うのは構文が単純だからで、それは誰もが読みやすいともいえる。だからストレートに読めるし、一文が長くてもシンプルにわかる。まどろっこしいと思うとしたら、職業病かも?」
長「な、なるほどー!構文か!うわぁ!」
N「猫に対して、『猫のお手本みたいなはっきりした声でした。』って書けないですよ!」
長「書きたいなー!表現にすごく無理がないというか、素直だよね」
……などなど、何ページのここがいい、この表現がやばい、こんなふうに思った、と語り合えて幸せな一時でした。しかし読み直したけど、やっぱりいいな、『周縁漫画家』。インタビュー本としては、マストバイの一つなんじゃないか、と思います。
2019年10月15日(火) 話し相手がほしい
夕方にOくんが事務所の近くまで来てくれて、喫茶店でコーヒーを飲みながら話す。特段、これといった用事があるわけではなくて、「お茶しましょう」ってお誘いに乗った感じだった。
近況なんかを話していると、うっかりうっかりと、プライベートな深い話もこぼれてきて、いろいろと考えさせられる。途中からブレンドコーヒーに、ミルクと砂糖を加える。ふだんなら、ほとんどしない飲み方なのだけど、ちょっとだけ口当たりをやさしくしたかった。
「長谷川さんは、お酒の場とかじゃなくて、もっと誰かと話したほうがいいっすよ。コーヒーとかでダベるくらいの感じで。それか、誰かと一緒に仕事する。一人で仕事していると、ずっと頭の中で悶々とするし、それを壁打ちみたいに話せる相手がいれば、整理もされるし」
と、Oくんに勧めてもらう。あ、ああー……最近の自分をあっさりと言い当てられた気持ち。
最近、ある人から教わって、斎藤環さんの『オープンダイアローグとは何か』を読み進めている。フィンランドで行われている統合失調症に対するケアのひとつで、依頼を受けてから「24時間以内」に精神科に通ずる「専門家チーム」が出向き、対象者や家族をまじえて、ただ「対話」をするという精神医療の手法を紹介している本だ。
何か心の不調に際し、片一方からのアドバイスや、ましてや批判などはせず、対話によって癒やされ、対話によって気づき、対話によって変わっていく。薬物療法も併用されることもあるが、それそのものよりも極めて少ないらしい。
つまり、それだけ、対話には人間を変えうる力があるということだろう。
僕は内容に興味があって読んでいて、すごいなぁ、なんて思っていたが、実はこれを読み、もっとも必要としていたのは、まさに僕なのではないのか、と今日の喫茶店で行き着いてしまったわけです。Oくんにもそう言ってもらって、学びというより欲していてページを繰っていたのだと。
Oくんは「自分より歳下の出来の悪いインターンみたいのを捕まえて、適度にビシビシとやりながら、壁打ち相手になってもらえばいい」と勧められたが、あまり気が向かない。とかく若い力を無償に近い状態で使役するのが心苦しいのと、僕なんかに仕えている時間がその子の人生にとってもったいないのではと思ってしまうからだ。
とはいえ、今日の喫茶店での、ぼんやりとした小一時間は、たしかに有り難い気付きをくれた。できるなら、もっと「話し相手」が欲しいなぁ、と思った。すると、Facebookで、とある占い師の方が、こんなことを書いていて、さらにびっくりする。
彼女曰く、「未消化の感情は毒になる」。そして、適切な話し相手がいると分解が促進される。
それでいえば、僕はすっかり毒に蝕まれているようなもので、さらに仕事中も一人で原稿を作ることがほとんどだから、これは外へ外へと求めていかないといけなんだろうなぁ、と思ったりもする。その勢いのままTinderでスワイプしてみるも、たぶんそういうことじゃないよな、とすぐにやめる。
ツイートしたら意外に共感があった。広義で言えば、大人の友達の作り方への悩みなんだろうけど、もしかしたら、みんなは、そういう「より良い話し相手」を持っているのかもしれない。
2019年10月14日(祝) さよなら白い部屋
ぐったり気味に起き上がって、カプセルホテルをチェックアウト。ソルマックを飲んで復活待ち。
初台に借りていたスタジオ物件の引渡し日。なにもない部屋をじっと見ていると、なんだか胸が切なくなってくるので、あえてラジオ『神田松之丞 問わず語りの松之丞』を大音量でかけて、Twitterなどを眺めながら不動産屋を待っていた。鍵を返し、手荷物を持って、あとにする。ちいさいけれど、白くてきれいで、屋上もあって、良い部屋だったなぁ。
返し終わってすこしすると、「スタジオ借りたいです!」とメッセージが来て、謝る。こういうタイミングが重なるのって、人生のふしぎだ。
駅前の[代々木商店 2号店]で家系ラーメンを食べて、どうにもぼんやりしたまま事務所へ。ぼんやり、ぼんやり。ぼんやりしながら、この日記をまとめて4日分書き記す。〆切のある仕事が諸々あるので、手を付けていかないと。
今週の「しいたけ占い」で牡羊座は、『今週は「やる気がすごく出ることと、徹底的にやる気がないことで大きくふたつに分かれる自分」が出てきてしまうのです。だから「あれ、見事なまでにこの仕事にはやる気が出ない」と思ったら、「いやぁ、本当にここまで色々手を抜かずにやってきたんだな私。ありがとう」と自分をねぎらってあげてください』と教えてもらった。
まさに今!しいたけ占い、ときにほんとうに怖いくらいドキッとしますね。ねぎらいながら、仕事を前へ進めていく。
2019年10月13日(日) 屋形船出港!
台風一過で、まさかの超快晴。無事に「屋形船で秋を楽しむ会」を開催できた。
蔵前を出発して、お台場あたりまで出て、スカイツリーを見つつ終えるという2時間半。天ぷらなどを食べつつ、酒を飲んで、ほんとうにしこたまどうでもいい話をしていた。びっくりするほど楽しかった。少し前に、仕事で構成した鼎談の「みんなで、居る」という状況がこれかぁ、と。
僕はもうずっと「ひとりで、する」に頭を使ってばかりいて、どんどん自分を追い込んでもいたんだろうと思ってきた。それは今でもあまり変わっていないのだろうけど。だからこそ、屋形船という「自由がある程度制限された中での自由」を思う存分、みんなで楽しんだのは、ほんとうに心が救われるような思いが何度もあったりしたのだ。バランス、そう、大事なのはバランス。
屋形船から降りて、渋谷の奥まったスナック(で呼び名がいいかわからないけど)にて、男性のママさんの美声に酔いながら酒を飲み続け、保護猫を譲り受けて溺愛中のKさんの家にお邪魔して猫カフェ気分を味わわせてもらう。気づいたら2時すぎ。長居しすぎた。
スナックで帰宅を諦めつつあったので、予約しておいた恵比寿「ドシー」にチェックイン。サウナに入って眠る。
……っていう一日だと思ってたら、ドシーの前にラーメン食べてた。完全に忘れてた。カメラ見てびっくり。そりゃなぁ、恵比寿で、お酒いっぱい飲んでで、夜中ってなったら、行っちゃうよねぇ……[九十九ラーメン]で、チーズたっぷりラーメン。美味しさが口のなかに蘇ってきた。
2019年10月12日(土) 台風19号
台風直撃の日。気圧の変化も甚だしいので、これはもうだめだろうと、水や食品を買って自宅で籠城。仕事もしないといけなかったけれど、酒を飲み始めてしまい、どうにもならなくなる。気圧も下がり続けて体も頭もしんどい。
夜中に、何もかもツラすぎて「ツラいよー!」と声に出しながら白ワインを飲んで横になった。
眠るに眠れない感じもあって、以前から見たかった『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』を一気に見る。これが抜群に面白かった。
イタリアでは2時間の昼休みがあるから、家に帰って昼食をつくって食べるし、有給制度もめっちゃ手厚い。スロベニアは大学が留学生も含めて無償……みたいに、マイケル・ムーアがアメリカとの差異を外国にもとめて見ていく話。
もちろん表面的なところだけを取り扱っているとは思えども、全体を通して各国は「人間の尊厳」というものに向き合っているんだろうと感じた。人間らしさ、というのか。誰も彼も生まれてきた瞬間から悪者になったり、歪みが生じてしまったりするものでもない(そういう人も、いるのかもしれないけれど)。成長や教育の過程で、どんどん思考は固着化し、変質していく。
それに気づいて、うまくぺりぺりと固まったものを剥がしていったり、その傷跡を治したりしていくことはできるはず。諦めてはいけないのだ。その繰り返しで、人間らしさを自分で取り戻したり、考えなおしたりしていく。もしかすると、大人になる、とはその一連の成立過程をいうのかもしれない。だから、「20歳で大人になる」なんて無理で。
年齢よりも考えた量、なんだろうか。考える。もっと、考えないといけないことはある。
あとめちゃくちゃどうでもいいけれど、だらだらしてたら酒をこぼして、大きな声を出したらその場でちょっとすっきりした。他人にご迷惑にならない限りは、声に出していきたい。一人で部屋にいても、おそれずに積極的に「独り言」を使っていこうかなぁ、と思っている。
最近、浜田よしかづさんのマンガ『つぐもも』をまとめて読んでいるせいか、ふつうにリアルに淫夢めいたものを見てびっくりする。直前まで、謎の企業に僕は入社し、女性社員と「どこの家系ラーメンが美味しいか」という会話をしていたなのに、そのあとでアレがソレでドウなった。
『つぐもも』は別に淫夢の話ではないのですけれどね。桐葉さん好きです。でも個人的には安次峰あるみさんか、獏楽さんがいいです。趣味がバレる。
2019年10月11日(金) かろやかに傘へ
はらはらと雨がふる渋谷。ちょうど駅のまえの交差点をわたろうとしていると、大柄な黒人男性が背をかがめて、日本人男性の傘に入っていった。驚く日本人男性。その表情でわかったけれど、このふたりは友達でもなんでもないのだ。黒人男性は、はにかみながら駅を指差して一言。そこでふたりは笑顔になって、横断歩道をわたっていった。
すこしの距離を「雨いやだなー」と思いながら苦々しく過ごすこともできるし、あの黒人男性のように誰かの傘にさっと笑顔で入れてもらってわたることもできる。
ちょっとだけ大変なときに、上手に、でも負担にならないくらい、誰かを頼れる人になりたい。
2019年10月10日(木) 台風vs屋形船
地球史上最大の台風とか言われてすげぇことになってきています。風の流れが見られるウェブサイトに飛んでみたら、SFアニメとかで見たような気がする世紀末感にあふれている台風が。千葉をガッツリ通りそうなので、また心配です。
ちなみに、13日(日)の夜に、仲間たちと「屋形船で秋を楽しむ会」というのを主催していまして、こんなん無理じゃない!?って泣いてたら、屋形船屋さんから「台風じゃあ仕方ないからキャンセル料は大丈夫。その代わり、あっさり晴れることもあるからギリギリまで待ってみたら」と寛大すぎるご配慮いただき、お言葉に甘えて、13日の夕方まで待ってみる作戦に出ています。
予報では12日がピークで、13日の午後には温帯低気圧に変わるとか言っているので、これもしかしたらもしかするのかもしれない。もし無事に乗船できたら、「お客様の中に『天気の子』はいらっしゃいますか」で挨拶は決まった。
昼は打ち合わせランチで原宿のオッシャレーな店でうまいピザを食い、その後に取材をして、これから夜半まで仕事します。すき家の牛丼中盛に、コンビニで買った納豆とめかぶをトッピングしてすすり込む。キムチがあれば、なおよしなんだけど、この食べ方が好き。雨ふってきたなー。
2019年10月9日(水) これ唐揚げなの?
昼間のギリギリまで原稿書いて提出した後に、友人Nに手伝ってもらって、午後は初台に借りていたスタジオ物件から撤去の引っ越し。カーシェアでヴォクシーなんて借りて乗ったけど、現在の自分ではまず買うことのないだろうファミリカーですから、なんだか涙しそうになった。生き方次第では、僕もヴォクシーに嫁と子供乗せてコストコとかへ行く人生もあったわけで。
涙を拭いて、いざ引っ越し。荷物は少なかったけれど、階段のみ4階物件からの移動はなかなか堪える。ほんとうに手伝ってもらってよかった……6時間の見積もりで借りたカーシェア、5時間40分で返却という神采配。事務所と自宅に分散して荷物を詰め込むだけ詰め込んだ。自宅カオス。もはや空き巣に入られたあとみたいになってしまっています。デリヘル呼ぶのすら躊躇するレベル。呼ばないけど。
無事に終えたのでお礼がてら飲みに行く。三ノ輪にある、とある居酒屋に入ったら、カウンターのところにでかい水槽が。なんだあれ、と思ったら、え?値札ついてる?
沢カニ唐揚げ。
沢カニ、たいへん元気に動き回ってらっしゃる。なるほど活きが良い。
興味本位で頼んでみると、店主、おもむろに水槽を片手に、沢カニを手につかみ、そのまま揚げ油の中にドボン。ジュワー!って、ええー!小麦粉とか、そういう手順は!地獄か!地獄揚げか!
想像通りに沢カニそのままの形でカラッと揚がってやってきました。味は、ソフトシェルクラブほどカニ肉感はないけど、衣のパリパリは良い感触。川エビの唐揚げの亜種みたいな楽しみ。
あとはたぶん、他にもいろいろ揚げている油だからだと思うけど、味が美味い。料理店の油という家庭用では再現しづらい調味料を見た気がしました。
その後に、へろへろと飲み、シメのラーメンまで決めて帰宅。荒れた部屋の只中で、爆睡。
2019年10月8日(火) 需要と供給
昨日、とある縁で青果市場に詳しい方と話す機会があって、色々教えてもらっていました。その中で、「果物の価格は需要と連動して上がる」という話を聞いたのです。
つまり、いちごならクリスマスケーキの頃、みかんなら正月って具合に、みんなが欲しがる時期に果物は高くなる。いわゆる「旬」によって価格が下るどころか、美味しくて、需要が高いと値段が上がるものだと。いちごなんかは今は一年中作れますから、その影響もあるのでしょう。
一方で、魚は値段が下がりますよね。秋になったからサンマの季節だわと思えば、お手頃価格になっているから美味しい。旬の魚は美味しい上に価格が安定すると(もしかしたらそこには業者のみなさまの並々ならぬ努力があるのかもしれませんが)。
さて、この果物の話を聞いて、ふと思ったのですが、フリーランスのウェブライターなどをしていましても、繁忙期というのが存在します。よくあるのは1月から3月にかけて。理由は、多くの企業の年度末で、予算消化のためにも広告が打たれることが多いので、記事広告の仕事が増えるためです。つまり、需要が高くなる時期というわけです。
この時期はメディアも稼ぎ時ですが、要は全体的な実入りも大きくなったり、付いている広告予算もオプションで増えていたりする。なるほど、これはもしかすると繁忙期に限ってはライターも需要増なわけですから、価格交渉の余地が出てくるのかもな、と。
そんな倍にしろとかって話ではないですが、たとえば仕事の一部を外注したいので、とか、他にも貴社の案件を受けられるように、とか、色々理由はつけられると思うのですが。この需要連動型で仕事の単価を上げてみる、というのは、どこかで試してみたいなーと思っています。仮に一案件で数千円でもアップできれば、積もり積もって金一封くらいにはなるわけですしね。
いつもみなさま本当にありがとうございます。その分、がんばります。
2019年10月7日(月) 戯言商売
あらためて警察に電話をかけ、身の上話をしてみるも、結果的には何かがすぐ変わるわけではなさそう。近隣の交番に情報共有はされるらしく、次に何かあれば110番していいとのこと。
ただなぁ、110番ってものすごい切迫した内容の電話もあるだろうから、そっちを優先しないといけないんじゃないのかっていう気持ちがすごいあります。切迫してたら3桁思い出すのが精一杯だと思うけど、僕みたいに鷹揚な用件で掛けられる別ラインがあっても良いのではないかしら。
しかし、なんかこう、もやもやーっとしたのが、「最終的には引っ越しという手段もある」と諭されたこと。え、こっちが出ていくの何で。努めて冷静に「それは難しいですね」と返したけれど、不動産屋さんとかならまだしも、警察がそれ言っちゃだめじゃないのかなぁ。うーん。
夜はUさんと銭湯へ行ってから、さくさくと飲み。たくさんおしゃべりして帰る。しかし、人とおしゃべりしていると、自分の引き出しがふいに開いて、「それならこの話ともつながりますよ」って別の角度で要素を紹介できたりすることが結構あって、これはなかなか編集的な所業で面白いなと感じたりします。何年か前にした取材でお聞きした話が、ほんとうにそのタイミングだけに振ってきたり。
それは「よそからの借り物だけで話題を構築している」という見方も当然できるんだけど、今日は「その話題の提供の仕方にもその人らしさって出ますよね」と話してもらって、ちょっと救われる。すでにあるものを結びつけたり、まとめなおしたりするのは編集的機能で、その仕方にオリジナルがあらわれる。たしかに。もちろんそれと「自分の頭で考える」というのは別の話。
夜道を帰りながら、ふいに「戯言商売」というフレーズが浮かんでくる。矛盾するようだけど、価値ある戯言が、もしかしたら別の角度からの見方につながるのかも。それが商いになる。そんなあり方も、ちょっとおもしろいのかもしれない。という、この考え自体さえ、戯言だけど。
2019年10月6日(日) 身の上話のむずかしさ
事務所のすぐそばでのカラオケ騒音があまりにひどいので、そろそろ耐えかねて警察に言ってみることにした(区役所には相談したけど効力なく、ビルの管理会社は梨の礫)。いきなり110番ではなく、ひとまず警察相談専用電話の「#9110」へ掛けてみる。何度かコールしてみるも「混み合っております」でさっぱりつながらず、時間を変えて何度か、ようやくつながる。
相談をしてみると、「住所を教えてください」とのことで伝えると、所轄の警察署の代表電話番号を教えてくれ、そちらに掛けよ、とおっしゃる。あ、そういう感じですか。それなら自分で調べて即わかることだった。陳情を始める前に一言かけてくれたら時間を無駄にせずよかったのに、もっと悩みの深い人に早くつないであげてほしい、と申し訳ない気持ちになる。
所轄警察署に電話して、内容を伝える。向こうからの質問もあったので5分ほど会話をすると、「平日のこれこれの時間に、なんとかという部署に相談してください。あらためて一度来署いただくことにはなると思います」とのご回答。心のなかではラジオ『爆笑問題カーボーイ』の「怒りんぼ田中裕二」コーナーばりに「はああぁぁぁ!? だったら最初のほうで教えてよ!」という気持ちになったけれど、内容次第で判断したかったんだろう。
それにしても自分の身に起きている困ったことを他人に伝えるのって、案外むずかしい。つい感情的になったり、あるいは主観的になりすぎてしまうこともある。時間軸に沿って話そうとすると、つい間延びもしてしまう。現状を全く予備知識のない人に伝え、なおかつ自分がいかに困っているかを訴え、理解を得るには準備とテクニックがいるんだなぁ、と思いました。最悪、うるさいほうに面している窓に、調べたら出てきた「防音ボード」を設置する案も検討しよう。
https://shop.pialiving.com/fs/pialiving/c/onetouch_window
以前、勧めてもらった映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を観に行く。上映回数は少なくなってきたのに会場満員。主役はどちらもカッコよく、男性としての魅力に自分との圧倒的な差を感じて震えた。リック(レオナルド・ディカプリオ)が、読みかけの小説と自分を重ねて涙し、その後に会心の演技をするところで、何か自分とシンクロする部分があったのか、静かに泣く。あとはクリフ(ブラッド・ピット)は最初から最後までオスとして強かったけど、繊細なところも感じさせて、自分のなかの乙女が反応する。
出てくる店やら車やら、リアルに1969年のハリウッドを再現しまくっていた映像が単にすごいなって思うのもあったけれど、とにかく一つずつのシーンに切れ目がないというか、終わってから「え、そんなに時間が経っていたの」と感じるくらいに、彼らの心情を思いながらずっと観ていたらエンディングになっていて、まったく飽きずに鑑賞。
自分に、ああいう強さはあるだろうか。おもしろい映画を観たあとに訪れる、現実の自分とのギャップだったり、何か埋めきれない諦念であったりに心揺らしながら、ちょっと肌寒い空気のなかで、自転車に乗りながら、またすこし泣いてしまった。
家に帰って、蒙古タンメン中本のインスタントご飯を食べつつ、発泡酒とハイボールを一缶ずつ。疲労をべったりと感じて、眠ってしまう。
2019年10月5日(土) ままならない
なぜか朝から「文章を読めるモード」だったので、川崎昌平『小幸福論』を読みきって(とても良い本だったのでいつか紹介したい)、ちょうどAmazonから届いた佐々木紀彦『編集思考』を第1章まで読んでから仕事に手を付ける。腰が重くなっていたやつが手元にまだあるので、この週末で目処を立てたい。来週はまた〆切がぽつぽつ出てくる。
夕方ごろから、すっかり10年来の付き合いになったIさんと浅草で飲む。Kanon20周年とかマジかよ…WHITE ALBUMなんて去年20周年かよ…歳をとったもんだ…とか言いつつ…。
とりあえず神谷バーに入ると大盛況。レジに並んで買う食券制なのだけど、海外観光客と思しき方が「キャッシュオンリー」って断られていて大変そうだった。レジがひとつしかないので後のお客さんも並んでしまうし、このあたりは東京五輪うんぬんでなくて何かしら対策があったほうがいいような気はした。変わらない味とスタイル、でも変えたほうがいいこともある。
ハンバーグステーキでビール大。大ジョッキの容赦ない感じがとてもよい。ハンバーグも美味しかったのだけど、これを食べていると、あらぬ気持ちが、もくもく、むくむく。河岸を変えて一件飲んでも気持ちがおさまらず。
あぁ、あの、あのバカみたいな、でも最高なハンバーグが、僕は食べたいです!!!!!
これだァァァ!!!!ハンバーグにミートソースのかかった、水口食堂のハンバーグ!
なんでそんなことになっているのか全く謎なのだけど、とにかく肉on肉という、美味いものに美味いものかけたらきっと美味いという発想で生まれたかのような最高のヒトサラ。それぞれ単体でも美味しいのだけど、合わさるとまためっぽう美味しい。トマトの酸味が、ハンバーグの脂とも上手に掛け算しているんです。皿に残ったミートソースの残りで、もう一杯、酒飲めちゃう。
すいすいとビールやチューハイをいただいて、話もほうぼう盛り上がる。「人生どうにもままならないけど頑張ろう」と握手して別れた。そうそう、ままならない人生には、水口食堂のハンバーグみたいなものが必要なんだよな、と思いながら。
2019年10月4日(金) オールド“ズーム”レンズの世界
WIRED.jpの記事を調べようとして「イヴェントレポート」ってサイト内検索したら、「もしかして: イベントレポート」って出てきて、違うよ!そっちに合わせたんだよ!ってなった。
さて、この「生活技巧」では僕の趣味のカメラの話もしていくつもりです。最近、富士フイルムカメラ仲間のSさんとレンズの貸し借りをよくするのだけど、彼が持っている「XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR」がイベントレポートあたりでも大変使いやすく、仕事用にも重宝ですが、お借りしている身としては「ない」という時を常に想定しないといけません。
現在価格で中古でも10万から12万。うーん、と思うなかで、とある記事を読みました。
https://modul.jp/201910028379/
カメラメーカーの純正品だと、だいたい1本20万円はします。かける3でおいくらになるでしょう? 目を背けたくなる数字になるでしょう? こんなの、おかーちゃんに知られたらどうなるとお思いですか!
だからこそお伝えしたい。90年代くらいの同等スペックのネオクラシックレンズだったら、お安くお手に取れますよって。
ふんわりとろける28-70mm F2.8「AT-X270 PRO」のお味:ネオクラシックレンズのススメ #レンズ沼 #さらざんまい | MODUL.JP https://modul.jp/201910028379/
なるほど、オールド“ズーム”レンズの世界があったか!
その思いで、僕の愛機の富士フイルムミラーレスカメラたちはAPS-Cだから、焦点距離としては1.5倍換算。「50-140mm」を満たすようなレンズを……と思うと、なかなか出会えず。前述の記事だと「28-70mm」ですから遠い距離が足りない。でも、暗いところも撮るかもだし、できれば通しのF2.8くらいが欲しい。それで調べていくとトキナー「AT-X 535 PRO DX 50-135mm F2.8」というレンズがぴったりと出てきました。換算で「75-202.5」なら良い感じ!
一応、秋葉原のカメラ店で中古レンズも眺めつつ、結果的にAmazonのマーケットプレイスに安めのが出ていてニコン用をゲット。秋葉原のにっしんカメラで中古の67mmフィルターは買って、これで実際どれくらい使えるのかしら、というのをワクワク待つ感じに。レンズとアダプタだけでいっても「XF50-140mmF2.8」の1/3くらいの値段なので、うまくいけば予算少なめだけど撮りたい人の希望になるかも?
……あれ、これ、別記事にするべきだなって日記になったけど、カメラレンズ通販でわいわいして、夜は会食的に中目黒でお蕎麦などいただいていました。僕もそろそろ一人だけで仕事するの大変になってきたかもしれない(仕事量的に)、と思いつつ、単に絶対量を減らすという手も。悩みどころ。
2019年10月3日(木) 生活技巧を始めた
昼間の予定が先方都合でリスケになり、午後の仕事が先方の体調不良でリスケになる。急に出来た休日みたいな平日。でも、こういうのってそれほど腹は立たなくて、たまにあると嬉しいくらいなんですよね。あっ、どうしよう、時間できちゃった、わーい!みたいになります。
とはいえ、仕事はしないとなので、対談構成の原稿を一本仕上げ、秋葉原の家系ラーメン[一刀屋]でネギラーメンほうれん草増しを固め濃いめ多めの「家系早死三段活用」仕様で頼み、ライスとともに平らげてから、いよいよこの生活技巧のカスタマイズを進める。
秋葉原の家系ラーメン欲は[武将屋][わいず][一刀屋]の三択なのですが、クオリティ的に落ち着いてて、心身ともに家系に染まりたいときは[武将屋]一択。でも、いかんせん混んでることが多いのが悩み。で、[一刀屋]は比較的入りやすいのですが、スープがぬるいときとか、無料のライスがぼそぼそしてたりするので、これはこれで悩み。
ただ、[一刀屋]は過去一度だけ、スープも熱くてメシも美味いことがあって、えらく感動したので、その再現を求めにいっている感があります。あの時の感動を毎回繰り出してくれるなら、混んでいる[武将屋]を避けて、サクッと家系モードの第一候補なのになぁ。うーん、何でも自分の思う通りにいくなんて考えちゃだめです。美味しいものを食べさせてくれてありがたい。
閑話休題。この生活技巧のデザイン、基本のテンプレートはサポトピア「Nishiki Pro」なので、難しいことは全然なく、さらに入力画面がすごーく快適で嬉しくなる。メールアドレスの作成とか設定とかを大変に久しぶりに、たどたどしくやったりして、時間がかかってしまいました。
で、どうにかこうにか、一応のガワはできたので、ひっそりと始めていくことにします。
ぼくは中学生の頃から自分のホームページを作っていた時期があり、誰が読むのかしらない日記を日々せっせと書いていたのですが、最近、それを読み直したら不思議と感慨があって。そういうのをサブコーナー的に、この生活技巧にも置いておこうかなと思っています。
高校3年生の頃になぜか加山由衣ってAV女優さんがどストライクで興奮気味に深夜に綴っていたのを読んで、うわぁ、5億年ぶりに目にしたぞって驚いたり。そういうのってほんとうに端々から忘れていってしまうものですね。別に覚えていて得もないんですが。
2019年10月2日(水) 軽減税率を楽しむ
コンビニのイートインで軽減税率とやらを初実感。お弁当を買ってお会計時に「あの、イートイン使いたいんですけど」と僕が言ったら、外国籍の店員さんが「電子レンジはあっちです」的なことを返されて、あれ、そういう返答じゃなくない?って思ったけど、きっちり10%消費税。
これ黙ってお弁当買って、さらっと自分で電子レンジで温めて、しれっと食べてたらどうなるんだろうと思ったりもした。温めるだけお願いして、そのまま持ち帰るケースもあるし。もはや良心に則って自己申告していくことで、ちいさな自尊心を満たすしかない気がします。でも、イートインはゴミも捨てられるし、電子レンジも借りられるし、10%でいいかなって思ったりはした。
セブンイレブンの中華系どんぶりにハズレ無しの法則は更新。回鍋肉丼おいしかったです。
夜はめちゃくちゃ久しぶりに赤羽で、仲良しの姐さんと3軒はしごする。記憶混濁。これまた超久しぶりの[まるよし]でキャベ玉(キャベツと卵を炒めたもの)を食べられたので満足。基本は、塩と、おそらくうま味調味料で味付けてあるだけなんだけど、なんでこんな美味しいんだろう。いや、美味しいというよりは、ホッとするよな、って感じでした。結局、つまみもこういうものに還っていくものなんでしょうかね。毎日SMプレイしてたら体が持たなそうだもんね。
2019年10月1日(火) 恋愛もPDCAで。
個人的には怒涛の令和元年9月が終わって10月になりました。ほんとうは8月頃からスタートしたかった「生活技巧」をあらためて始めたいなぁ、と思って幾日。よし、10月には動き出そう、何日後になんとかなるんじゃないかという希望を抱きつつ、朝からわちゃわちゃと移動。
長丁場の撮影取材をして、夜は飲み会で六本木へ。時間が半端に余ったのと、まったくご飯が食べれてなかったので、飲み会前に我慢できずに[天鳳]で醤油ラーメン。味が濃く、麺が固めになる、いわゆる「135」のオーダーと半めし。やはりここのラーメンは完全におかず。麺のぱきっとした感触も食べてて楽しい。体に良いかと言われたら、まぁ、そんなこと考えてたら食べないでしょうけど。
飲み会は、僕の直近の大ネタ(先月、バツイチになりました)も手伝って、恋愛の話も多め。しかし、恋愛で別れを経験すると、やさしい人は慰めてくれることが多いので、なかなか振り返りがないんだなぁ、というのを実感。ちゃんとその都度、自分で振り返らないと、また次でも同じ過ちをしてしまうかもしれないわけで。
ビジネス的に言うフィードバックとか、PDCAとか、そういう観点を自分は恋愛に本当はもっとちゃんと生かしてこなきゃだめだったよなぁ、と反省しきり。でも、目の前に失恋した友達がいたら、やっぱりまずは励ますし、そこでいきなり詰めたりはしないですよね。だからこそ、「傷が癒えるまで待つ」とか何とか言ってばかりでいないで、自主的に取り組まないとです。
みなさんの話が面白すぎて、終電ギリギリまで。
1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。編集者・ライター。「生活技巧」発行者。