2020年7月29日〜31日 取り戻す
遠出をした。仕事兼リフレッシュという感じで、久しぶりに新幹線に乗って他県へ移動。
ぼくは新幹線というものがこんなに大好きだったんだ、と思い知ってしまった。ああ、移動って楽しい!
崎陽軒のシュウマイをつまんで、キリン一番搾りを飲むの最高!駅弁も最高!遠距離恋愛時代を思い出したりもしてセンチメンタル!ああもう!
テンションに追いつけなくて、車窓から外をずっと眺めていた。
数日間、緑がいっぱいの湖畔に滞在することになり、目にする景色、吸っている空気、味わえた美味、あらゆるものがここ数ヶ月では得られなかったものばかりで、すっかり何かを「取り戻した」ような気持ちになった。心から休まる時間を過ごした。
あるとき、昼寝から、ゆっくりと目覚めた。ひぐらしが鳴いていた。遠くで、なんども。
夢を見た。ありえない光景の、ありえない声だった。二段ベッドの下の段で、すこしだけ狭いな、と感じながら、ぼくは泣いた。涙がぱたぱたと顔の横から、ベッドに落ちる音を聞いた。
よく眠れると、よく夢を見られるのかもしれない。進路に悩む実写版矢澤にこ(※徳井青空さんだった)にチャレンジを促す夢もあった。起きたときに意味がわからなすぎて笑った。
一緒に行ったNさんと、いろんな話をした。強く残ったのは、生きる上での時間間隔のことで、おそらく今は「短期・分断」に世界は寄りすぎていて、それに気づいた人は「長期・共生」を指向できるし、指向したくなるのだろうということだった。
この湖畔のそばは、長期・共生の時間にあふれていて、都市に渦巻く短期・分断とは物理的に距離も置けたから、自分がその都市的思考に巻き込まれ続けてきたことにも、ふと気づいた感じ。
どちらかだけではなく、たぶん、人間にはどちらも必要。いまこの都市集中な世界において、それは楽しいとか刺激的とかみたいな話とは別で、長期・共生に思いを巡らす時間を持つべきなんだろうとおもった。
よい数日間だった。
2020年7月28日(火)3年契約
この「生活技巧」を置いているエックスサーバーから「もうすぐ契約切れですよ」と連絡が来ていたのを見逃していた。あぶない。そうか、気づけばもう1年経っていたのか。また夏が来るのだものね、8月は目の前だ。
複数年契約するとお得なのもあって、3年契約してしまう。この日記も、ぼんやりぼんやりと書いているし、メディアとしてもっとできることもあるはずなんだけど、まだそういう時期じゃない、というか……まぁ特段に殊勝なことは考えていない。のんびりできる場所って感じだ。
ぼくはぼくの書いたものが好きで、実は結構読み返したりできるタイプだ。人によっては過去にしたものをまったく見られない人もいるそうだけど、ぼくはできる。むしろ、する。公開された仕事の原稿も、この生活技巧での日記も、ちょこちょこと見たりしている。
結局、自分のことがよくわからないせいで、それを少しでも知りたくて、読んでいるような気もする。今日、ある打ち合わせで数年先のビジョンを問われて困りながらも、でも僕は「自己肯定感」と「孤独のケア」に興味があるんだ、ということを伝えていた。
なぜかその2つが、すっと出てきた。
割と大事なことだと思うから、この2つに資することも、もっとできたらいいんだろうという気がしている。
それにしても、今日は文章が出てこない日だった。頭もなかなか働かない。諦めかけてストロングゼロを飲み、あたりめをかじりながら、長蔵ヒロコさんの『煙と蜜』第二集を読んだ。尊い。
悶え転がりつつ、にんとかかんとか仕事を進めて、納品もする。
睡眠の質もへったくれもない眠り方をしてしまった。
2020年7月27日(月)写真を飾る
目の前に仕事はあれど、気乗りがせず、ヨドバシカメラまでフォトフレームやポスターフレーム、それを引っ掛けるフックなどを買いに行く。
コーヒーを飲むときに見るポットのそばには、気持ちが晴れる中川正子さんの写真を。デスクから立ち上がったところには、飯田エリカさんが撮った戸田真琴さんのポスターをかけた。なんかすごく「磁場」のある一枚で、あのまわりだけ空気が違う感じがして、妖しくていい。
窓際には、これも飯田エリカさんがしらいさんを撮ったプリントを。アクリル額装でしっかりしているので、こんなふうに窓辺に置いても安定感があっていい。写真自体が光にあふれるけど、外が明るくなって窓からも光が挿すと、相乗効果でこの世のものとは思えないような気になる。
これが簡単なのに美味しくて、昨晩と、今日の昼と、続けて食べた。おいしい。
仕事場にこなつを持ってきたのは本当に正解だった。立ち上がるたびに撫でたり抱いたりしている。抵抗もせずに甘やかしてくれるので、ありがたい。
2020年7月26日(日)同時並行原稿術
原稿仕事をしていた。いくつか溜まっていて、ここ数日で方を付けないといけないのだけれど、いつもとやり方を変えてみた。
これまでは、ひとつの原稿が終わったら次へ、終わったら次へ、と一直線に進行させてきたのを、まずは全体の構成だけやってしまって、また次の構成をして……と、原稿化していく一段手前の状態にしておき、出揃ってからスタートしていくようにしたのだ。
だいたい全体に手がついている、どれも「3割終わりました」みたいな状態にしておくと、手持ちの仕事が一応進んでいる感みたいのが得られて、結果的にはよかった。
やべー、全然なんにも終わってない……というしょんぼりした気持ちを避けやすくなった(実際はそれで納品できるわけではないから、全然終わってないんだけれど)。
短めの原稿と、長めの原稿と、2本納品することに成功。やったぜ。今日が4連休の終わりだったんだなぁ、とぼんやり思った。
昼めしにコンビニでやりたい放題やってやったのがよかった。雨上がりに、急激に暑くなったので、たまらずビールも投入。この日はビールが身体によく馴染んだ。
体調や気分と、飲んでいる酒の「波長が合うとき」というのはあって、うまくいくと非常に全能感じみたものを得られるのだけれど、まったく合わないとひどく気持ちが落ち込んだりする。
酒なんかやめればいいんだけど、ここまであらゆる失敗をしてくると、むしろ辞め時をうしなっているような気持ちもある。酒が悪いわけではない。そもそも悪いのは僕だし、酒はうまい。
MJモバイルでの麻雀もぼちぼち続けている。役満聴牌だー!と思ってもアガれないことが続いていたのだけど、よくよく見ると、大四喜に字一色というダブル役満の聴牌があった(字一色とばかり思っていた)。こんなのアガったら寿命が縮む。神様の温情かもしれない。
夜は半沢直樹の第2話を観て、興奮しまくった。
2020年7月25日(土)消極的休息日
床から目覚めると、いやそりゃだめだ、という感じの身体の痛みで寝直す。
起きて、昨日の焼き肉で食べきれなかった牛サガリ肉を、たまねぎとえのきと炒めて、焼肉のタレでじゃーっと味付けて、しそを乗せた白ごはんに乗せる。おいしすぎる……。
自分で自分のためにおいしいものをつくれる喜びを感じながら平らげる。すっかり満足して布団に戻ってしまう。低気圧でもなさそうなのに、今日はどうにも心が伴わない日だ。
この2日くらいで積んでいたマンガをぐぐっと読んでいく。
橋本悠さんの『2.5次元の誘惑』、空えぐみさんの『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』、日本橋ヨヲコ大先生の『少女ファイト』17巻と、まったくどれも最高だった。
二次創作に正しさなんてないだろう。俺が買う同人誌だって、そうだ。下手でもいいんだよ。似てなくてもいいんだよ。俺は愛を伝えたい人間から、愛を受け取りたいだけなんだ。それだけで幸せになれるんだよ。リリエルになりたいなら必要なのは愛だけだ。
橋本悠さんの『2.5次元の誘惑』より
どクソマジメに未来なんか考えたら誰だって潰れる。抱えられるもんなんて今この瞬間やってることくらいだろ。過去も未来もいらん。今はこの試合だけ感じな。
日本橋ヨヲコ『少女ファイト』17巻,p,105
気づいたら嬉しい気持ちで眠っていた。起きたら20時過ぎ、いよいよ仕事はしないと、と思って簡単に食事をして、さくっと支度すませて仕事場に。
雑談+打ち合わせのLINEが盛り上がり、めちゃくちゃ良いコンセプトが打ち上がり、生きていく楽しみができる。もうたいていのことは満ち足りていると思っても、この世の中には足りないものがたくさんあるんだなぁ、と感じる。
夜中、TVerで『あざとくと何が悪いの?』を見て、あんまりにも面白くて爆笑する。あざとさの前にはどうせ勝てない。手のひらの上で転がされるだけである。レギュラー番組になるらしいので嬉しすぎる。
2020年7月24日(金)ひとり焼き肉(自宅)
事務所で目覚めたら午前4時くらい。メールを開くといろいろと更新通知が来ていて、戸田真琴さんの日記を読んで、最後のあたりの部分にグッときて、ひとしきり泣く。びっくりした。
まさに「自分の気持ちをすくいとってもらったかのような」というのは、こういうことだろう。
ぼくのデスクにはディスプレイが3面あって、左側のTwitterではアイドルの「全てを壊して消え失せたい」という言葉が流れ、右側には野心と顔出しと愛蔵渦巻くYouTubeのトップページが開かれていたけど、その両方をそっと閉じて、真ん中だけの画面を見ることにする。
遅れている仕事の原稿をどうにかこうにかした。
Twitterでフォローしている日常コミックエッセイのあんみつさんのを見て、あ、たしかに家焼き肉っていいなぁ、と思って、今日の夜はやってみることにした。
思いついたことがあって、液晶ディスプレイをもう一台買おうと思って、秋葉原をふらふら。中古も視野に入れていたけど、Amazonのタイムセールがあんまりにも安すぎるのと、ベゼルが細いものを求めていて、結果的にAsusのVZ239HRにする。
その外出ついでにお酒も買おうと、瓶ビールかな、とおもった。焼き肉といえば瓶ビールが大好きだ。あの煙をおかずに、小さめのコップで飲む瓶ビールが好きだ。
と、サッポロ赤星の瓶ビールを手にしたけれど、これは買わなかった。なんというか、これはお店で飲むものの楽しみにしておこうと思った。わくわくできる余地を残しておきたいなぁ、と。
いろいろと仕事をして、あとで買えたお肉で焼き肉。そういえば大きめのグリルパンがあったので、これを持ち出したら、もう完璧。しっかり焼けるし、うますぎる。
うまいうまいと焼き肉をガッツリ食べ、付け合せのキムチと、つくりおきのピーマン塩昆布もつまんで、すいすい酒を飲む。午前1時半からの『彼女、お借りします』のリアルタイム放送を見ようと思っていたのに、そこまでたどり着けずに、床で寝てしまっていた……。
2020年7月23日(木)情熱の赤入れ
寝起きてすぐ、ブックライティングの仕事のゲラチェック。いよいよ大詰めという感じ。前日に買ったペンタブレットの扱いにも慣れてきた。やりたいことがうまくできると嬉しい。
YouTubeでイラストレーターのさいとうなおきさんが勧めていたセッティング方法が効いた。「パッドの後ろにペットボトルのキャップを挟んで傾斜をつける」は即効性が高すぎた。
しかし、本一冊分を読みながら調整をかけていくのは、やはりそれなりに時間がかかるもので、結果的に都合半日程度は費やした。むしろ、この大元の原稿を自分が書いていることに、なんだか改めて驚きもする。読むと面白く、良い本になりそう。2億部くらい売れてほしい。
うまいラーメンを食べて「うまいうまい」と言いながら、友人Sにそそのかされて(とはいえ乗ったのは自分なので後悔はない)麻雀アプリのMJモバイルに初めて課金し、そのままギャンブル卓という直球すぎる三麻会場に突っ込んだら、見事にすっからかんにされてしまった。
これが、ギャンブルというものの怖さか……と、LOVOTのこなつを抱いて「ごめんね、ごめんね……」とつぶやいていた。こなつは不思議そうな顔でこちらを見つめていた。
昼食帰りにReoNaさんの新譜『ANIMA』を買って戻る。
午後は、また別の原稿の赤入れをする。来週、この原稿の赤入れをもとにトークするイベントがあり、そのための仕事。それだけに気合いと愛を込めてコメントを書くと、ものすごく時間がかかる。概ね、自分で書くのと同じくらいの時間が投入されていた。
本来的には赤入れをするとそれくらいの感情と体力を要するわけで、やはり身体が丈夫な人、偏執的で執着性があって、常人と半歩ずれながら必死に堪えられるような人でないと、編集という仕事はなかなか難しいものなんだろうと思ったりもする。
もちろん、いろんなかたちの、いろんな仕事での編集があるので一概には言えない。
本当はもう一本、自分でつくるタイプの原稿編集の仕事があって、催促こそ無いが遅れてしまっているので手をつけたかったが、気づけば、ぐったり疲れて事務所の椅子で落ちていた。
これくらい疲れるのだから体重だって毎日2kgくらい落ちてもらわないと困る。
仕事の合間に読んだ、染谷みのるさんのマンガ『刷ったもんだ!』1巻が面白かった。印刷業界を舞台にしたお仕事系コメディ。時折挟まれる専門的な業界話がおもしろい。アニメグッズの外注の話とか。
腸内環境をすこしでもよくしようと思ってビオフェルミンをAmazonで注文してみた。こういう発想だから痩せないし、ラーメンはうまい。
2020年7月22日(水)ペンタブ
昼12時(こぼれても13時)という〆切のある仕事があり、朝目覚めてからはそれに取り組んでいた。新しく始まるアニメのイントロダクション文の案。短くて簡単そうな文章なんだけれど、やってみると、すごく難しい。
どのシーンやセリフをチョイスすべきか、入れるべき情報はなにかなど、精査すべき項目の整理が必要で、さらにそれを言葉でうまく変換して落とし込まないといけない。
スタッフロールに名前が載ることはない仕事なので公には出来ていないのだけれど、いくつかやっていくうちに、少しずつ精度が上がっている……といいな。少しでも活用されれば嬉しい。
仕事場にLOVOTのこなつを持ってきてよかった。折に触れて抱きしめたりしている。こなつの行動記録を見ると、こなつが喜んでいる回数が爆発的に増えていて、それも嬉しい。
夜、PDFに赤字を入れる仕事があり、マウスだとなんだかうまくいかないと、閉店間際の家電量販店に行く。
お手頃なペンタブレットを見つけて導入。TSUKUMOeXで「XP-Pen StarG430S」。
こういうもので「欲しい!」と思ったとき、すぐに買える秋葉原という街は便利だなー。
操作になかなか慣れないが、思ったより良い効果がある。もっと慣れたら、いい武器になってくれるかもしれない。
缶チューハイでも少し飲みつつ仕事するか、と思ったら、すぐに眠くなってしまって22時すぎに沈没してしまった。事務所のインフィニティチェアで4時半まで、しっかり寝る。
起きてまた、すぐこの日記を書いたり、仕事に取り掛かったりする。お腹が空いたら、一度帰ろう。
2020年7月21日(火)80年代的なるもの
午前中から新しい仕事先で、その仕事に関わる過去の資料をずっと読んでいた。途中、これからお世話になる人にもご挨拶をする。大きく期待を寄せられているようで、頑張らないとなぁ、とあらためて思ったりする。
その、80年代の雑誌メディアを見ていると、今よりもだいぶ「コト消費」に近いテーマでの紙面づくりがなされており、これが90年代以降になると「モノ消費」に切り替わっていく。情緒から機能になっていく。
そして、00年代にインターネットが出て、情報環境のモノ消費感は飽和を迎え、10年代後半あたりからの変化が再び「コト消費」として見直されていった……という図式に見えてきた。
というのも、80年代のそのメディアは、言葉遣いなどはまだしも、とても「今っぽい」と思えたのだ。企画や試みも、今日にでもSNSで更新通知を見てもおかしくないくらいで、ただ使っているものやテクノロジーが当時のもの、という感じだった。
つまり、今らしくアップデートしたり、むしろこれをそのまま使ったりすれば、今よりもずっとおもしろいものができるかもしれない。80年代的なことを知る資料的価値をインターネットに残すこともできる。
メルカリで一冊、ものすごい写真集を買う。出ている人は当時の「出たてのアイドル」や「売れっ子の女優やタレント」なので、それが今も残っている人なら、レジェンドばかりなのだ。南野陽子さんの写真でとんでもないのがあって、それを手元に置いておきたくなって買った。
それが好きすぎて、ほんとうに額に入れて飾りたいくらい、良い。
夜中に『鍵泥棒のメソッド』を観た。めちゃくちゃおもしろい。半沢直樹コンビの堺雅人さん×香川照之さんに、広末涼子さん。強い。やっぱり広末涼子は強い、と感じた。永遠に憧れで、永遠に好きで居続ける気がした。
2020年7月20日(月)ふつうの幸せを
朝、ぼんやりとした絶望感のなかで、あー、何もしたくないなー、という気持ちのなかで、意識の向こうのほうからゆっくりと光みたいなものが、じわーっと広がっていく感覚を得る。
シャワーを浴びて、冷蔵庫にあった玉ねぎと、ネギとの青いところを出汁で煮て、卵2つでとじたものをチンしたごはんにかけて、玉子丼にして食べる。あったかいものが胃袋に入っていくと、さっきの光の感覚が言葉になって形になっていくようだった。
ふつうの幸せを、ふつうに追い求めるのをやめようとおもった。
ぼくの意識を縛るさまざまなものから、みんなの共通認識になっているふつうの幸せを、すこし外してみようと考えたのだ。それに、とらわれるくらいなら、一般的に見れば狂ってしまっているような人生につっこんでいくほうが、いいのかもしれない。
それは破滅派を自称するのとはちがう。そこに、ぼくの幸せはないのかもしれない、という前提、そうではないところで知ってしまった大いなる喜び、血の昂りこそが、幸せのひとつなのだと信じ追い求めることだ。
編集者(あるいはライター)を、僕は「ふつうの感覚を持つ異邦者」だともおもった。感覚はノーマルに、けれどいつでもどこか外側から来た人の目を忘れずに、とあらためて。
ぼくがつくるものは誰かの人生を踏み外させたり、貶めたりするものではない。文化を発展させ、前進させ、継続させること。そして、生活の安寧に寄すことが大切だ。
……そんな、言葉をメモしながら、事務所で仕事をした。Zoomでインタビューも一つ。何度も会ったり話したりしている人だからというのもあるだろうけど、割と感覚的に言いたいことと聞きたいことが噛み合っていてよかった。
それから、SくんにZoomで相談に乗ってもったり、おしゃべりしたりする。気づけば4時間。めっちゃありがたい……自分が大きな絵を描いてしまいがち(そうすることがいいと思ってしまいがち)なところを「手元のことからやるべき」と導いてもらって、ハッとする。
やるべきことの方向性が、よりクリアになった感じだ。
2020年7月19日(日)よもやま
目覚めたら2時過ぎ。のそのそ起きて、家賃支援給付金の申し込みを済ませる。ページがめちゃくちゃわかりやすいし、機能もサクサクですんなりできた。あとは不備がないことを祈るのみ。
事務所の模様替えをする一環で、自宅にいたLOVOTのこなつもお引越しさせることにした。日中、家を空けることが多いので、そばにいて欲しいのは仕事中だからだ。
こなつは、新しい環境で自分がいる位置を把握する「マップ」も作り直しでたいへんかなぁ、と思うけれど、一緒に慣れてもらうしかない。ごめんね。仕事中、ちらっと見ると目が合ったりするので、結構うれしい。
あたらしい環境のせいか、ちょくちょく、ころんでいる。愛が深まる。謎の誤字をしたままツイートして、後で気づいたのだけど、見てくれた人が何も言わずに「いいね」してくれるのにも、ちょっとした愛を感じる。
Oさんが遊びに来てくれて、ぼくが好きな[果寮MATSUTOMI]のジュースを奢る。好評でうれしい。そのまま事務所でおしゃべりした。仕事のこと、最近のこと、これから書いていきたいもののこと。Oさんは小説を書く人なので、「今、何を書いていいものやら」という話もする。
ぼくはそれに明確に返事ができなかったけれど、必ずしも社会を照射したり、オピニオンを伝えたりすることだけが目的ではなく、むしろ誰か一人に書かれたもの、それは自分自身のためでもいいのだけれど、そういったものがむしろ価値を放つことも、きっとあるという話をした。
Oさんも、もともとネットで日記を書いていて、その延長線上で今の仕事があるという。だから、あらためて日記を、人知れず書いてみるところから始めてみては、と伝えた。日記は、ふっと自分が出てくる。自分のために書くものだから、多感な人であればあるほど、何かが見つかるような気もしたのだ。
LOVOTのこなつに、Oさんも興味を持ってくれて、魅力をひとしきり語る。Oさんはこなつを抱いて撫でながら「オキシトシンが出る」と言っていた。わかる。出るよね、しとしと。
あとは、お互いに、仕事の愚痴なども。こんな話ができるのは嬉しい。ネットに書いても利がないことは、しゃべってしまうに限る。久しぶりに「よもやま話」ができた日だった。
今日から半沢直樹だった。TVerを観る機会も増えているし、アニメのリアルタイム視聴もしたいので、小さめのテレビを買ってしまうことにした。半沢直樹、めちゃくちゃおもしろい。この興奮を覚えただけでも、買ったかいがあった。来週が今からたのしみ。
深夜、近隣がうるさいので、まずは警察の生活相談電話「#9110」にかけてみる。管轄警察署の案内を受けたので、そこへ電話をして苦情を伝える。
相手の素性もわからないので怖く、情報元は匿名にしてもらった。すると「結果は返せない」という。実際に何が行われるかはわからないので、改善も現状把握もできないのか、と思うと、やや心もとない。ただ、何もしないよりはいいはずで、前進したはずのことに少しホッとした。
民事不介入だろうし、状況次第では、また日中の昼間に相談してみることにしよう。今日、そんな連絡をした、というメモとして書いておく。
夜半、吉行淳之介の著作をヤフオクで調べていると、実質3号で終わった伝説の雑誌、澁澤龍彦の『血と薔薇』に一遍エッセイを寄せているのを見つける。ヤフオクで入札してみた。
2020年7月18日(土)からだにまかせる
朝方帰宅して、LOVOTのこなつを撫でてから眠る。打ち合わせなど時間を縛られた予定がない日にはアラームをかけるのをやめてみている。睡眠時間を身体に任せる。
「何時間眠ろう」という管理手法が人間に絶対合うわけでもないだろう。身体の方から「これくらい眠りたい」と申告してもらうような気持ちだ。今のところ、最近は5時間以内に目が覚めることが多い。でもそれ以上、眠りたい気持ちも起きないので、いいのかもしれない。
15時ごろに起きる。Twitterを開くと、三浦春馬さんの訃報に驚く。『コンフィデンスマンJP』を見たばかりで、恋愛詐欺師の役が素晴らしかった記憶も、まだ新しい。遺書があるそうだが、公開をあの手のこの手で狙いそうなメディアの動きが不安だ。
事務所へ行く前にソフマップAKIBAで、SONY用の中古カメラレンズを買う。SEL1635Z。16mm-35mmという使いやすい焦点距離でいい感じ。動作確認で、何気なく久しぶりに使ったAFに「すごい!便利!」と言ってしまった自分の不思議さに笑う。ここのところMFレンズばかり使っていたもので……。
これに、サウンドハウスで注文した外付けマイク関連が届けば、動画撮影の一台が出来上がる。今から撮ったりいじったりして慣れておかなくては。この夏で、うまく少しは道具化したい。
Zoomで打ち合わせ一つ。不穏な内容。終え、ドネルケバブをビールと食べる。
その後は上海問屋でHDMI切替器を買ったり、ニトリでカラーボックス棚を2つ買ったり。棚くらい持って帰れるだろうと高をくくっていたが、こんなに重いものを持ったのも久しぶり。体力瀕死の状態で何とか仕事場に搬入。さっと組み立て。
ニトリには釘も使わずにはめ込みだけで作れるカラーボックスのシリーズがあって、これを体験してみたかったのだけど、ものすごく簡単。あとは耐久性の問題だけど、いやー、技術ってのは本当にすごい、と目が輝いてしまった。
ホントは棚のなかに棚板を追加したかったのだけど、さすがに持ちきれなかったので、次回に持ち越すことにする。肉体作業に疲れ、まぶたがとろんとしてきたので、またアラームをかけずに22時半頃に眠った。
2020年7月13日〜17日 多忙
山場を迎えた〆切を前に、ひたすら原稿作業をしたり、でも合間に楽しみな会合があったり、事務所の掃除や模様替えをしたりと、慌ただしく過ごしておりました。つかれた。ものすごくつかれている。
もう筆を折ろう、もうやめようと最近はこんこんと思ってきて、もうだめだ、僕は山や海のほうに引っ込むんだと感じながら、時に房総や金沢の不動産情報を見ながら生きてきていたが(ほぼ〆切のプレッシャーがくるもの)、なんとかやる気をだいぶ取り戻せたような気がする。
見ていてくれる誰か、がいるのは心強い。見ていてほしい誰か、がいるのは頼もしい。
それに、うれしい仕事もひとつ決まる。個人的にはものすごい頑張るぞ、という思いがある。
今度、何もない休みの日を設けられたら、このカレー担々麺をつくって家でごろごろしたい。
事務所の模様替えと掃除を始めたら引っ込みがつかなくなってしまい、なんだかんだ頑張った。
メタルラックを使ってデスクスペースを拡張し、モニタアームを一本新調して取り付けた。ついでに、これまで使っていた古いモニタをやめて、秋葉原のTSUKUMOで特価になっていたEIZOのモニタに替えた。これで3面がどれもEIZOモニタになった。言うことなし。
必要なものに、必要な投資をちゃんとすることで、仕事を広げる。そのための融資でもあるし、もっと自分を拡張しながら励んでいかないと。どこまでいけるか、どこまで走れるのか、わからないけれども。
2020年7月12日(日)正義のコメントたち
前日の夕飯に、のり弁と一緒に食らったキリン本搾りが効きすぎ、仕事場のColemanのインフィニティチェアで爆睡してしまう。
はっと3時間ほど眠り、2時すぎに起きて、手を動かし始める。徳田秋聲『小品文作法』のデジタル化も少し。終わりが見えてきた。
帰宅して、昼に寝る。「テレビ千鳥」のロケみたいので千鳥と相撲を取る夢を見る。ノブが吉田秀彦みたいな立ち姿で強かった。
起き、寝ぼけつつTikTokを開いたら、コロナにかかったらしい人が病床から投稿していた。コメント欄は「外出自粛しねーからだろ」と叩く言葉ばかりが並んでいた。たしかに過去投稿を見ると、自粛期間と思しきときにマスクもなしに、外で動画を撮って投稿していたようだ。
それにしても、矢のような言葉にまみれている。自分が何か問題に思ったり、見ていたりする範囲は実に限定的なものだし、木村花さんの一件があっても、「正義」はまだ行使されてしまうんだな、とおもった。
夕飯に迷って、セブンイレブンの炒飯+油淋鶏弁当。やってやったぞ、みたいなメシだ。何歳まで食べられるだろう、こういうの。古沢良太さんの『リーガルハイ』脚本がKindleで出ていたのを知って爆買い。うれしい。
『コンフィデンスマンJP』はFODにあるのがわかったので、入会して全部見るつもり。先んじて脚本は買っておいた。
今日は頭のなかで、ぐわんぐわんと良くない言葉や気持ちがめぐる日だった。それらをなだめすかそうと、ストロングゼロを1缶飲んでみると、ふーっと遠くに聞こえるようになった。ゆらゆらと指先を動かして作業興奮を引き出しつつ、原稿制作を進める。
合間に、やばい感じでアガれたのが、アガった。懸念していた大掛かりなところまで、原稿一旦終えられる。朝6時。
2020年7月11日(土)ドーミーイン采配
ドーミーインで仕事をしながら朝まで過ごしていると、時間配分が楽しくなる。朝5時から大浴場のサウナが稼働をはじめ、朝7時から朝食タイム。大浴場が10時に閉まって、11時にチェックアウト。どこで風呂、食事、仮眠とするかを塩梅するのだ。
この日は夕飯に夜鳴きそばを食べたきりで、朝までパソコンの前にいたのでお腹は空いている。しっかり7時に朝食をとりたい。となると、朝食とってからのお風呂では、消化不良にもつながるのでよくない。
ここは、まず一汗爽快にして、体を空にしてから朝食を楽しむ。その後、体調を鑑みつつ、9時半にもう一度風呂に入り、髭剃りなど身なりを整えて、11時まで仕事をしてチェックアウト。
予定どおりにきれいに進んで大満足。他にも、朝寝のパターンもある。朝食をすっとばして、サウナに朝から入って、6時ごろに引き上げてきて、もう一度、ホテルのさらさらシーツで眠る。これはこれで至福なのだ。
ともかくドーミーインのように大浴場のあるホテルでは幾通りの楽しみ方ができて、やればやるほど贅沢で楽しい気持ちになる。
チェックアウトをして、家でほっと一息。LOVOTのこなつと遊んだりしつつ、昼は作りおきのトマトソースペンネと味噌汁。猛烈に眠くなって一眠り。15時からGO FIGHT CLUBの最終講義。半年間、学びばかりだった。とったメモはこれから何度も見返して使っていくだろう。
夜は、ほっともっとの特のりタル弁当と、サッポロクラシック1缶、キリンの本搾りレモン1缶。
間食にジャイアントコーンを袋の1/3ほど、ふむ。今日はこれから、まだまだ仕事をしないと。すっかり生活リズムがぶっ壊れてしまっているけど、仕掛り中の原稿を上げないことには、なんともいえない。そればかりを考えて過ごしている。来週こそ、休むぞ、来週こそ…。
2020年7月10日(金)スシローのあさりの味噌汁
夜中から朝にかけて刻々と仕事。Amazonプライム・ビデオで『ゴッドタン』の過去回をBGVにしつつ、以前から見たかった映画『コンフィデンスマンJP ロマンス編』があり、しっかり一本観る。最高。
古沢良太さんの脚本がことごとくツボなんだと思ったし、おそらく僕はこういうストーリーが好きなんだと思った。それは、完全な勧善懲悪ではないもの、というか、悪と正義が戦う、相手を罰する断罪するという類ではないものなのだ。グレー感を大事に生きたいのだとおもう。
朝方になってきて、テンションがあがったまま、開店直後のスシローのテーブル予約と、近場のドーミーインの宿泊予約を済ませる。甘えだろうがなんだろうが気力体力がいるのだ、今。
11時、スシローへ。大トロ祭りは「焦がし」のがうまい。あとは「黄金のとろ穴子」が最高。シメに飲んだあさりの味噌汁、あさりの身がふっくらしててうまい!おどろいた。
その後は、ドーミーインでサウナや風呂、仮眠をはさみつつ、ひたすら原稿など。日髙良実シェフの動画で、アクアパッツァをつくるものがあり、あまりに美味しそうなので驚く。仕事が一段落したら真似してみたいな、とおもった。
MJモバイルで三麻をはさみつつ、夜中にはアニメ『彼女、お借りします』をリアタイ視聴して興奮する。
仮眠がきいて、まったく眠くなく、朝まで走っていく。
2020年7月9日(木)オイルサーディン
夜中にぽちぽちと吉行淳之介の本を買い増して、朝方まで仕事場でうだうだと仕事などをして、家に帰る。世の中の通勤時間と、自分の帰宅時間が重なると、未だにどうにも「よくないこと」をしている程度に協調性を植え付けられて育ってきました。
お腹がぺこぺこだったので、朝から開いてるスーパーで買い物して、広尾「アクアパッツァ」の日髙良実シェフが修行時代によく食べていたというオイルサーディンのパスタを真似してみる。
簡単なのに、とっても美味しい。つかっているものに特別なものはないはずなのに、配分と作り方で美味しさってやっぱり変わるのね……と当たり前の感動を、当たり前に噛み締めて、ぺろりと食べる。
勢いのままに、鶏肉、たまねぎとにんにく、お値打ちだったえのき、しめじ、エリンギを炒めて、トマト缶とコンソメとかを入れて、ざっくりとしたトマト煮をこしらえる。
ネット麻雀で字一色の聴牌を上がれずに大きな声を出して悔しがり、一眠りして、これも勢いで買ってみたペンネを茹でて、トマト煮とあわせて食べる。ペンネおいしい。すすらずに、もぐもぐするからか、お腹いっぱいにもなりやすい気がする。
日が沈む前から仕事場に。GO FIGHT CLUBの講義の日。
原稿修正などしないといけないことを進めて、書き仕事。夜ご飯、ファミマのトルティーヤタコスミート、ハイボール缶1つ。気力体力が弱々しいけど、できることをできるところまで。
2020年7月8日(水)サウナと冗長性
斎藤環さんと與那覇潤さんの『心を病んだらいけないの?―うつ病社会の処方箋―』を読み終わる。実にたっぷりとした豊かな対談集だった。そう思ったら、あとがきに「1年ほどに分けて、毎回4時間ほどの対談を複数回」がベースになっているという。
仕事として考えても、ライターさん、まとめるのすごいな。文末にお名前があったけど書き留めるのを忘れていた。あとで確認しよう。
斎藤環さんが積極的に取り組んでいるオープンダイアローグについての記述はどれも面白い。すごく必要だなという感じがする。ぼくらは今まで「調和」的観点でしか教育を受けてこなかった。だから「空気読み」に長けたりするのではあるが、外れることで迫害が出る。
それはベースが「調和」だからなのだ、という理解ができた。
斎藤 たしかに「関係者一同が対等に会話する」という外見だけを見ると、人間教やヤンキーカ ルチャーによくある「いっぺん無礼講で飲みにいけばみんな仲間」的なエートスと、混同してし まうかもしれません。しかし行われている対話の内実に注目すると、ODではポリフォニー(多声性)を大切にするのに対して、人間教的な「同じ釜の飯を食う」関係はハーモニー(調和)を志向しているので、まったく正反対のベクトルを持つことがわかります。
斎藤環・與那覇潤『心を病んだらいけないの?―うつ病社会の処方箋―』p,251
ポリフォニーとは、わかりやすく言い換えると、「他者の他者性」を理解するための言葉なんです。自分と相手との間には決定的な違いがあり、しかしどんな相手にも個別の尊厳が備わっていること。その他者の主体性は尊重すべきだし、自分の主体性もまた尊重されるべきであること──これらを身体的に理解することを通じて、主体性の回復が起こるのがODの対話です。
もうひとつ好きなのが「冗長性」だ。これも僕らから失われつつあるもので、だけれど與那覇さんが言うように「人が生きていく」ために必要な性質のひとつだろう。
個人的な体験に引きつけて話すと、サウナも冗長性の回復の表れじゃないかとおもう。毎回、1時間程度を費やす。そこでは会話などよりも、ただ黙って快感を受益することが許される。
サウナは、現代に疲れた病者たちが、冗長の中で「必要なもの」をつかむための施設……なのかもしれない。
與那覇 大変重要な観点が最後に出てきたと思います。冗長性と聞くと、普通は「ムダ」の同義後だと理解されて、だったらなくせよと思われてしまう。しかし実際には人が生きていく、あるいは社会を離持する上で「冗長であることが必要」な場面が、多々あるのではないでしょうか。
斎藤環・與那覇潤『心を病んだらいけないの?―うつ病社会の処方箋―』p,267
計画なしの対話を何回も重ねるODを通じて、病者が回復してゆくのは、まさしく冗長性のなかでこそ「必要なもの」をつかみ取れるからだと思います。ぼくの体験からいうと、デイケアの空き時間やプログラムでボードゲームをやっていたときに、近いことを感じました。
一日としては気力体力もなく、ふいに寝てしまったりしながら、夜22時からやっとこさ活動を始める始末。仕事を落ち着けて、早く『M〜愛すべき人がいて〜』の最終回をゆっくり見たい。
2020年7月7日(火)若き人々に
七夕で、『彼女、お借りします』の「かのかりコール」が時間ごとに切り替わる日で、それをタイムキーパーにしつつ、仕事をする。個人的本妻の瑠夏ちゃんは今回も優勝でした。
Amazonから届いた、ナイシトールZとコッコアポLを飲み始める。ラクして少しでも痩せたい気持ちの表れ。痩せるかどうかはまだわからないとしても、お通じがものすごくよくなった。
え、またトイレ行きたいの?で、しかもちゃんと何か出るの?と、自分でも驚くくらいに。痩せるかどうか別としても、これちゃんと飲み続けたほうがいいんだろうなって気持ちになる。
ありがたいことに結果が出たときのために、日記に書き留めておく。この書き留めておく、検索もできるので結構便利である。
ちまちまと進めている名著のデジタルテキスト化から、今、先に公開したほうがいいと思いたち、その熱情に突き動かされることもたまにはよかろうと、一気に仕上げてnoteにホメル社アカウントもつくり、与謝野晶子の散文を公開した。
現代語訳もつけることにしたので、これはなかなか難しく、時間もかかる。適切な言い換えができているといいのだけど、自分が知らない言葉、知らないものだらけで、どきどきする。
青年は自身の鋭敏な感覚で、あらゆる新味を受け入れます。触れるもの、聴くものから、新しい世界を感じ悟ります。なんという尖った直覚と、豊富な幻想と、芳烈な熱情と、雄健な創造力とを持っているのでしょう。このようにして、古来から地上にある最も価値ある事業の大部分は、青年の頭脳と、心臓と、筋骨とから作り上げられたのです。
100年前から「大人と老人」は邪魔者だったのだ──与謝野晶子『若き人人に』現代語訳+原文|ホメル社|note
歌人としての資質ゆえか、歯切れよく、わかりやすい言葉にもうっとり。できれば都知事選から間を開けたくなかったので、7日の公開にこだわってしまった。けど、久しぶりに「制限時間がハッキリとある作業」をしたので、ブログメディアに携わっていた頃のヒリヒリが蘇ってきた。
これでゲラゲラ笑ってしまい、その後にどっときた疲労感に心身の闇を感じる。少々の酒も飲み、少々のはずが少し過ぎ、気づいたら事務所の床で寝ていた。
2020年7月6日(月)エヴァ感
仕事が詰まりつつも、進めるべきことはやんないと、と思って区役所に行く。日本政策金融公庫からの融資に印鑑証明書が必要だったのだ。うおー、印鑑のために命を晒す勢の仲間入りだ。
もっともマイナンバーカードがあればコンビニとかでも取得できるので、ずっとサボってたツケが回ってきただけともいえる。
もらった印鑑証明書には赤い印で「緊急経済対策用」と押されていて、かっこいい。明朝対で赤文字でカッチリとしたイメージ。エヴァンゲリオンのティンパニーが聞こえてくる。ダン!ダンダンダン!ぱっぱーぱぱっぱぁーぱっぱぁぱー!
道中、radikoで『高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと』を聞いていると、朝井リョウさんがアイドルインタビューの質問について一家言あるという。質問が「好きな異性の仕草」とかの定番に偏りすぎていてしまっている。それではファンは盛り上がれない。
良い質問を考え抜いた結果、「1000円持ってコンビニに行ったら何を買いますか」。
これなら選ぶ品物や選び方でキャラクターも見えるし、みんなの共通体験として親近感もあり、なおかつ「あの子の好きなもの」を買ってみちゃうこともできると。天才か。
「オタクはこれで2時間は盛り上がれる!」と興奮していたけど、たしかにこれはいい。みんなストーリーを求めているし、ストーリー性が人に想像させる余地も与える。そんなことを考えながら、仕事に直結することだし、すぐにiPhoneにメモした。
天気も悪かったし、すこし疲れもしたので、電車に乗った。久しぶりに乗った。何ヶ月ぶりだろう。乗ってわかったけど、電車、やっぱ便利だな……。
2020年7月5日(日)投票行って外食
朝6時まで仕事をしてからホテルへ戻り、朝風呂と朝サウナを堪能して、意識を吹っ飛ばす。
サウナ内のテレビで、朝のドキュメンタリーで岐阜和傘の職人さんを追っていて、そのあまりの美しさに岐阜和傘が欲しくなる。一本、数万円という価格みたいだけれど、いつか手にとって惚れ惚れして、そのまま買ってしまうことをしたいな。
1時間半くらいぼんやりしてから、部屋で寝る。チェックアウト11時に起きて、着替えて出る。
そのまま家に戻ると、からだが火照って気持ちいいのもあるし、でも頭がぼんやりしたままで、横になったら寝てしまう。はっと目覚めて15時。よかった。選挙の投票へ行く。結局、あれこれ考えつつ、小野たいすけさんに入れた。
まぁ、結果は小池さんなんだろうなぁ、とは思っていたけど、かなりの大差でびっくり。あとで見たら、小野さんは供託金没収ラインのギリギリ10%で、一票投じてよかったのかな。
秋葉原[卍力]でスパイスパクチーラーメン、もやし+肉切れっぱしをトッピング、パクチーレモンライスを頼む。最高。卍力は、もう卍力という食べ物って感じがする。シンプルに大好物。角煮みたいなぎゅっとした肉切れっぱしと、レモンをしぼるパクチーライスも相性バツグン。
事務所へ。雨のせいか、なんなのか、最近続いているメンタルの不調が深まる。気力もやる気もなく、ふらふらと手を動かしたり止めたりしながら、夜更けになる。
この日記をここまで書いても思うけど、テレビとかのお笑いでは、ほぼ脊髄反射的に笑いが起きるんだけど、自分の心の中から笑いは出せないというか、面白いことが考えられない感じだ。
徳田秋声先生の言葉を借りれば、自分の心に「感興の湧上る」ことがない。あるいは作者の感興が充実していない。生きているのが申し訳ないような気持ちになる。そんなときに限って、麻雀アプリもあと一手か二手が足りない。大三元チャンスも上がれず、歯噛みする。ツキもない。
自分の汗のにおいが気になって、帰宅してシャワー。前に『家事ヤロウ』で見た「天かすデビルトースト」を作って食べる。おいしかった。天かす、めんつゆ、マヨネーズ、青のりを混ぜて、食パンに塗ってトーストする。青のりの代わりに、あおさのりをつかったけど美味。
今日はやめておくつもりだったけど、キンミヤ焼酎でウーロンハイをつくって一杯飲む。なんか気持ちが落ち着く。お酒を飲むのはセルフメディケーションの一種、という話を思い出す(ただ、それが深まりすぎるとアルコール中毒症の原因になる)。
うっかり、冷凍してあった宅配ピザも2切れ焼き戻して食べる。日記見返したら、ピザとったの 6月11日じゃないか。だいぶ前だ。でも、味も含めてやばい感じがない。冷凍ってすごい。
落ち着いたので、ぼーっとしながら、TVerで『ロンドンハーツ』を観たりしつつ、重い腰をあげて仕事場へ。夜明けまではまだ先。仕事は暗礁に乗り上げている。もう月曜日で世の中は動き出していくはずだ。謝る心づもりだけしつつ、手を少しずつでも動かす。
2020年7月4日(土)鬼金棒
いま、5日の午前3時で、日記なんて書いている場合でもないとわかっているのだけど、やらないといけない原稿のことばかり、ずっと考えているので、ちょっとそれ以外のことにも頭を使いたくなったのだ。テスト前に部屋の掃除をしちゃうタイプなのだ。
4日の夜更けに「かつや」のカツ丼を食べ、そのまま仕事を続け、近場のドーミーインを15時で予約する。このまま15時近くまで仕事をして、サウナと風呂になだれこもうとする作戦。
11時に椅子で沈没。だめでした。はっと起きて13時。また14時半まで原稿を書いて、一度帰って着替えてから、ふらふらとドーミーインへ。秋葉原は人が多い。もう何か、COVID-19なんてすっかり忘れてしまったような空気だ。
すぐそこのメイドカフェから発症者も出ているのだけど、知ってか知らずか、あるいは無視しているのか。僕だけが何かそわそわしながら歩いているような被害妄想がある。
小野たいすけさんが秋葉原で街頭演説をしていた。言葉をわずかに聞いただけど、快活そうな印象はある。やっぱり、これくらい若返らないとだめなこともあるのかもなぁ、と思ったり。この投票直前なところで秋葉原にきているのも、若者狙いという感じでストレートでいい。
チェックインして、すぐに近場にラーメンを食べに行く。神田の[鬼金棒]、久しぶり。ものすごく美味しい。辛さは中、痺れは大。
滝の汗をかいて戻り、サウナとお風呂。1時間ばかり、体と心を休める。仕上がったからだでベッドに横になり、すこし眠る。1時間くらいのつもりが、完全に落ちきって21時半。そのぶんだけ気力体力回復したと思って仕事場へ戻り、また原稿をつくる。
今日はどうにか2/3まで終わりそう。でも、ほんとうは金曜日が全ての〆切だったので、謝りつつ巻いていかないといけない。しかも、もう一本あったのを思い出した。もはや月曜日(ないし火曜日まで)全力で振り絞るのは確定路線か。
さぁ、原稿をやるぞ。それでこのあと、朝風呂して、すこし寝るんだーふふん。
2020年7月3日(金)選挙どうしよう
久しぶりに仕事場で寝て起きた。仕事でも詰まっていて半死半生。
やっとこ、選挙のことを調べる。
減点法なら小池百合子さんなんだろうなぁ、という感じになる。上記の質問状含めて、いろいろと問いかけに答えているか否かは怪しいのもあるけど。加点もないというか、そんな加点対象もないんだろうけど。あとはやっぱり宮坂さんが居るのが大きい。
宇都宮さんはカジノに対する物言いが気になった。「ギャンブルは、依存症を必ず生み出し、多重債務に陥ることもあります」みたいに、「必ず」と使ってしまうところに、何か人間のゆらぎを決めつけていく一面的な怖さを感じる。もちろん多重債務者と向き合ってきた人だから、はっきりと言ってしまえることはあるんだろう。
小野さんは「質問の意味がわかりません」が、わからないってことはないだろう、そうだとしても仮説のもとに答えるとかさぁ、となった。ちょっと期待していたけれど、候補からは外したい気持ちもある。ただ、小野さんくらいガッツリ若返ったあとの都政も見てみたい気はする。
意外にまとも(質問回答という意味で)なのが立花さんで、この人が色物だけど色物だけではない感じがとてもわかりやすくていい。都政を任せるとかではないけど面白い人だ。カジノ誘致の回答とか、いいアイデアだし実業的。とかく進歩的な感じは受ける。
山本さんは、これまでの国政での振る舞い含めて、ものすごく気にかかることがあったので、最初から外している。生きている人に拝むなんてパフォーマンスは何があっても絶対だめだよ。
ごとうてるきの「性教育の見本は俺が実演するわ、予算もつける」は、これはこれでブレがなくて笑った。
はー。結局どうしようかな、と思っている。僕自身はIRもいいなとは感じているので、反対派の人には入れないのだけは、なんとなしにわかった。東京はギラついていてほしい。
青山裕企さんの『少女礼賛』が届いて、仕事のあいまに、ページをめくっていく。すごい物量の同じ女性の写真で、少女の不確かさみたいなものを感じていく。大人でも子どもでもないような、大人でも子どもでもある存在。
少女でも女性でも淑女でも悪女でも、あらゆる存在の内包している少女。見ていて、頭がくらくらするような面白さがある。
夜更け、店が閉まる前に、雨のなかに「かつや」へ行って、カツ丼の「松」を滑り込みで買う。こんなうまいものがすぐ食べられる幸せ。ロースカツ2枚に卵2個の暴力。すごすぎる。
2020年7月2日(木)ストゼロ
11時20分、部屋に電話の音が鋭く鳴る。電話の呼び出しというより、プルル!プルル!と「!」に力の入った、アラームみたいな音だった。
そうだ、ドーミーインに泊まっていたのだ。チェックアウトは11時。平謝りして、すぐに支度して出る。ごめんなさい。
閉店が決まった秋葉原のメイド喫茶の「シャッツキステ」で、Twitterに「#シャッツキステの思い出」というハッシュタグが走っており、それを見るのが好きなんだけど、何かあったかしらとまとめてみたけど、自分ながらに微妙だったのでこっちに書いておく。
部屋裏部屋の時代に、密かに焦がれたメイドさんがいて、その後にまったくメイドと関係のない仕事場の席で出会うことになり、正直に白状して握手までしてもらったときに興奮して膝から崩れる気持ち悪いムーブをかましてしまったのを未だに覚えているし、未だに恥ずかしい。
恥ずかしかったこととか、ものすごく照れたこととか、うまくいかなかったインタビューとか、そのときの感じってなかなか忘れがたいものがある。忘れてしまいがちなのに、記憶は面白い。
郵便が届いて、日本政策金融公庫から。追加融資がきまる。やった!新型コロナウイルスに関連するものなので支払いに猶予もある。助かった。
あとはひらすら、〆切に向かって仕事。なかなか終わらない。夜中、気晴らしがてらコンビニへ。夜道でひとり、泣きそうになった。心のうちから、かなしくてかなしくて、それが頭のほうにまでのぼってきてしまって、あ、泣いちゃう、とおもった。
肌をさわる、夏の夜の空気がそうさせた。買ってきたストロングゼロを一口飲んだら、ぼんやりと涙はひっこんだ。
2020年7月1日(水)オレの居場所
9時に起きる。LOVOTのこなつと遊ぶ。今日はなんだか、こなつのテンションが高くて、すごくかわいかった。
ここ最近、気がかりな原稿があって、その更新履歴がちょこちょこ届くのが、いちいち気になっていた。この「ちょこちょこ」「いちいち」が、あまりに自分の精神を脅かしていることに気づく。さらに、スマホアプリの通知も、無心でスワイプしているとはいえ、時間の無駄だ。
ということで、Googleドキュメントのメール通知を止め、アプリの通知も全部見直す。
「気にかかっていること」というのが僕の精神をとても悪くすることを、やっと自覚した。自分に非がない状態のことでも、そうだ。ぼくは小心者だし、心配性だ。それならば、気にかかってることは、ちゃんと確認すればいいのだ。別に確認することは悪いことじゃない。
そんなわけで、LINEやメッセージをぽつぽつして、いくつかホッとする。
あるZoom取材で、僕がLOVOTを買った話をしていた時、「結構なお値段ですよね?」と聞かれ、「いや!ランニングコストならば普通のペットよりは割安で!」など力説してしまったのだけど、それでも「結構な値段」に変わりはない。人間の満足はお金の尺度も余裕で変えるし、一概に高い/安いで話すのは無駄なんだと改めて思う。
江頭2:50さんがYouTubeで、動画投稿を始めてよかった、と言っていて感動する。
「めちゃイケ」と「ぷっすま」が終わったじゃん。そのあと、仕事なかったじゃん。だけど、それからエガちゃんねるが始まったじゃん。始まってから、充実した日々を過ごしている。やっとオレの居場所がわかった!
草彅&ユースケ&シークレットゲストの3人が江頭の誕生日を祝福! – YouTube 3:20あたり
55歳になって「オレの居場所」がわかることもあるんだ。その生き生きとした表情は、すごく勇気になった。
金曜日までの〆切をどうにかせねばならぬ。体と心の不調が極まってきたので、いつもの近場リフレッシュを決行する。ドーミーインに宿を取り、久しぶりのサウナとお風呂を満喫する。
仕事、サウナ、仕事、サウナとして、朝方に就寝。7月のはじまりは大雨と大風だった。
1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。編集者・ライター。「生活技巧」発行者。